アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

序章 2

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何だか体が上下にゆすられる感覚と、頬に当たるあたたかさに徐々に意識がハッキリしてきた私は、瞳を開けて驚いた。
「え?!な……何?」
「お、気が付いたか?」
「うん、気が付いた……って誰?!それに何処?!」
誰か分からない広い男の背中に背負われている事に気が付いてバタバタと暴れると、男は慌てて私を地面に下ろし、溜息をついてもう1人、先を歩いていた男に話しかける。
「燿(よう)〜お嬢ちゃんが気が付いたよ〜」
「……袁(えん)、良く見ろ……それの何処がお嬢ちゃんだ」
(ムッ!行き成り失礼な…イ、イケメンね)
岩のように大きな体で小麦色に焼けた肌に、白く短髪で茶色いつぶらな瞳の男は袁(えん)と言うらしい。
そして、スラリとした細い体に適度な筋肉が付いて、背も私の倍はあるんじゃないかっていうほどに高い赤い瞳の嫌味な男は燿(よう)と言うらしい。
長い赤紫色の髪の毛を後ろでひとつにまとめた燿は私の方に歩いてきてボスボスと力任せに私の頭を上から押し付けるように叩いて袁に言う。
「チビで可愛いお嬢ちゃんに見えるだろうが……」
更に燿は私の髪の毛を掴みグイッと顔をあげさせて
「この顔、どう見たって十代じゃねぇだろ?」
「痛たたた!何すんのよ!」
「あ、ダメだよ〜燿」
私が叫ぶと私の髪の毛を持っている燿の手を袁が振り払ってその大きな腕で抱き上げ、背中に乗せた。
「乱暴なんだから〜。何歳だろうとどんな風貌だろうと、このお嬢ちゃんは僕達一族の主になる人でしょ〜」
(……その言い方も酷くない?悪かったわね20代になってて)
プクッと2人の会話に頬を膨らませた私だったが、袁が言った一言が頭に引っかかった。
「ちょ、あ、あの……お話の最中申し訳ないけど」
「何だよ?クソチビ」
「(フッ、チビで悪かったわね……)主って何?一族って?」
「屋敷に着いたら説明してやるよ」
フンと鼻を鳴らして横目で私を見て燿はスタスタと数歩前を歩いていく。
「……な〜によ、偉そうに」
「ごめんね〜悪いやつじゃないんだけど。予想が外れてくさってるんだよ」
ぼそっと呟いた私の言葉に袁が小さな声で言った。
「予想って?」
「あはは……後で分るよ」
「ふ〜ん……。まいっか。それより、ココは何処?私職員室にいたはずなんだけど……」
「しょ、職員室?何だそれ?」
「(わかんないの?……学校自体が分らないのかしら?)う〜ん、とにかくココって何処?」
「ココはね〜聖都メルベスだよ〜」
「……聞いた事無いけど、なんていう国の首都?」
「聞いた事ないのは当たり前だよ〜お嬢ちゃんはこの世界に召喚されたんだ。僕達の一族の掟に従ってね」
「この世界?」
「ここはね〜お嬢ちゃんがいた世界とは違う世界なんだって。僕も良くわかんないんだけど、大丈夫。家に着いたらパパが説明してくれるはずだからさ〜」
ニッコリ微笑みながら言う袁の言葉に、不思議と冷静だった私の頭がグラリと揺れ動いた。


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