アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

序章 4

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「ほら〜、あれが僕達の屋敷だよ〜」
そう言って袁君が指差した方角にあったのはどう見てもお城だった。
「……え、袁君?屋敷って、あの大きいお城っぽい建物?それともその手前の小さい建物のどれか?」
「大きい方だよ〜」
(……そりゃま〜立派なお屋敷といえばお屋敷なのかもしれないけど…。けど……城じゃん!!)
あっけにとられたまま、少し引きつった笑いを浮かべて、私は袁君の肩から少し見える袁君の横顔に聞いた。
「ねぇ、もしかして袁君って……王子様だったりするわけ?」
「王子様じゃないよ。僕達は別に国王様の子供じゃないから」
「でも、あの家ってどう見てもお城じゃ……」
「あ、違う違う。見た目はお城みたいだけど聖都メルベスの王宮はもっと街の方にあって、もっともっと大きいよ。ここは街のはずれ。聖都の端っこなんだ」
「へ、へぇ〜(あれよりデカイ城って…私の貧弱な脳ミソでは想像できないわ…)」
袁君が言う【屋敷】の周りには堀があり、その堀にかけられている跳ね橋を渡った所で袁君が私を下ろし、大きな扉の横についてある通用口のような小さな扉をあけて中へと通してくれた。
外壁に囲まれていて外からは分らなかったが、中に入ってみると荒れ城と言った感じで、建物の一部は壊れ、庭も相当手入れをしてないのかあまり綺麗な状態ではなく、何だか寂れた感じがする屋敷だった。
大きな袁君の大きな歩幅に、小走りをする状態で付いていくと屋敷の玄関らしき扉の前に人影が見える。
「兄さん達だよ」
「……お兄さん?袁君の?」
「そう、僕達は8人兄弟なんだ」
「8人……それはお母さんも頑張ったわね……」
「あ、1人のママから生まれてきたわけじゃないよ」
「え?!」
何気ない袁君の言葉にどう言う事か聞こうとしたとき、袁君は大きく手を振りながらその人影に駆け寄り、事情を聞けぬまま、私は仕方なく走って後を追った。
(……な、何か複雑な家庭環境なのね。理解できる程度なら良いけど……って、既にこの状態が理解できてないんだけどね〜ァハハッ……)
「兄さん!お連れした〜」
人影は3人。
袁君が駆け寄った長い銀髪をキラキラと輝かせ、瞳を閉じてニッコリ微笑む男性は私を見て……
「ようこそ。麗しの君……」
と言い。私の右手を取って、その手の甲に軽く口付けをした。
その行為で頬を真っ赤にした私に、その隣に居た緑の短髪に逞しい体つきをして居る男が……
「随分とチビだな……」
と言葉をかけ、私の頭をポフポフ叩いた。
何かしらと背の高さを言う連中にムカッとにらみつけると、更に隣に居た赤く長い三つ編みをした細い男が切れ長の瞳で見つめて微笑み……
「フフン、賭けは俺達の勝ちだね」
と嬉しげに口笛を吹く。
次々と現れる得体の知れないイケメン……じゃなかった、男達に私の感情はそれぞれの態度でそれぞれ掻き乱されていった。


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