アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

序章 9

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(……これまた凄い光景だわ)
部屋を入ってきた美形は聖と燿を除いて私を囲むように座って、微笑んでいる。
ココは何処かのホストクラブですか?といわんばかりの美形の微笑みの嵐に私の頭の中はクラクラしつつあった。
「色々と凛も聞きたいことが多いだろうが、まずは自己紹介から始めようと思う」
「そ、そうね、名前が分らないとどうしようもないもの……」
「まずは私。既に自己紹介は済んでいるが翳(えい)だ。この兄弟の長男で28歳となる」
「優しいように見えて一番厳しくて、怖い存在だぜ」
翳さんの言葉に聖君がニヤニヤ笑って付け足したが、コホンと1つ咳払いをした。
「聖、黙っていなさい」
「へぇ〜へ、了解」
呆れたように溜息をついた翳さんは続ける。
「で、コッチの銀色の長髪をしたのが……」
「次男の泪(るい)、24歳になります」
瞳を閉じてニッコリッ微笑んで泪さんは私の手をそっととってその手の甲に口付けをする。
「あ、玄関ではどうも……」
「クス、いえ、あの父上に向かっていく女性の方がいるとは思っておりませんでしたから楽しかったですよ」
泪さんの言葉に私は思わず引きつった笑みを浮かべてしまった。
「そうか、泪は玄関に出ていたのだな?」
「はい。枉(おう)と豹(ひょう)も一緒に……」
コクリと頷いた2人を翳さんが紹介する。
「こっちのふてぶてしくて、視線鋭い緑色をした短髪の男が……」
「枉(おう)、18だ」
「え?!18?」
「何だ?何か不満か?」
「いや〜ごめん、18に見えなかったから……あまりに落ち着いてて」
アハハと笑って頭をかいてそう言った私に枉君は少しムッと口を尖らせてそっぽを向いてしまった。
そんな枉君の肩を楽しそうにポンポンと叩いて燃えるように紅い髪の毛を長い1本の三つ編みにしている子が堪え笑いをして私に言う。
「ククク、お前本当に最高だな。俺は豹(ひょう)。枉と同じ18だ」
「えぇ?!貴方も18なの?……み、見えないわ」
「なっ!俺もかよ!」
私の一言にズーンと落ち込んで、枉君の肩に額をつけてもたれ掛った豹君を枉君がフッと笑って眺めた。
「凛ちゃんって、思ったことをそのまま言うタイプ?」
私の耳にそう囁きかけたのは私を迎えにきてくれた袁君。
「う〜ん、そういうタイプじゃないんだけど。どっちかというと言いたい事を飲み込むタイプと言うか……」
「ククク、にしては結構はっきり言っちゃってるぞ〜」
少しはなれたソファーの方に座っていた聖君が微笑して私を見て言った。
「そ、そうかな〜。だとしたらこの雰囲気のせいかも。なんだか話しやすいから……」
「そりゃ良かった。嫌われて無い証拠だな……。俺ももう自己紹介済みだけど、聖(せい)、21歳。ラフに生きるのがモットーのイケてる男だ」
「……それ、自分で言うもんじゃないんじゃない?」
「聖兄の場合はラフって言うよりただの面倒臭がりなだけじゃね?」
「フン!男のクセに髪型にこだわる赤毛に言われたくないね〜」
イーと歯を出して言う聖君の頭を翳さんがポクンと叩いて制止し、最後に残った袁君と燿君をまとめて紹介する。
「迎えに行ったからこの2人とは顔見知りでしょう?白髪短髪の袁(えん)、20歳と、赤紫色の髪の毛の燿(よう)、17歳です」
「よろしくね、凛ちゃん」
「年下に凛ちゃんって呼ばれるとなんかくすぐったいな〜」
「だろうな〜もう22のババァだもんな〜」
「フッ、またスリッパを命中させて欲しいのかぃ?生意気なクソガキ」
「ク、クソ?!お、女はそんな言葉使いしちゃいけないんだぞ!」
「ふぅ〜ん、知らないも〜ん。私はこの世界の人間じゃないからそんな事を言われても知りませぇ〜ん」
思い切りアッカンベーをしてそういう私に負けじと燿君もアッカンベーを返し、言い合う私達の喧嘩を止めたのはアハハと大きく笑った聖君の笑いだった。

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