アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

龍印 2

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「ねぇ、どうしてこんな所にいるの?」
「……上に居る皆の誰かしらに何も聞いてないの?」
「うん……聞く前に飛び出してきちゃったから……」
アハハと笑って言う私に、梟さんは少しだけ笑みを浮かべたが、すぐに伏せ目がちに下を向いて言う。
「ごめんね、凛。僕からは何も言えないんだ」
「何も……言えない?」
「そういう風に父上に言われているから……」
父上。その言葉を聞いた途端に静まっていた怒りが沸々と湧き上がってきた。
「あの、クソオヤジがココに閉じ込めたのね!」
「ク、クソ?」
「そうよ、女の人を回りにはべらせて良い気になってるクソオヤジ!」
「凛は父上に会ったの?」
「うん、会ったよ。あまりに偉そうな態度だったからさっき平手打ちして出てきちゃったの……そしたら迷っちゃって」
「父上を平手打ち?傍に居てなんともならなかったの?」
「??、何が??」
梟さんは私の話を聞いて信じられないといった表情を浮かべて聞いてきたが、逆に私は梟さんが何を言いたいのか分からず聞き返す。
「……やっぱり凛は光麗なんだね。特別なんだ……」
「あ、あの……」
「上に帰って、皆に聞けばわかるよ。それと、僕の事は翳か聖に聞くと良い……」
「翳さんか、聖君に?」
「彼らと僕の母は同じだ。誰よりも僕がココに居る事情を良く知っている……」
自分の事となると瞳を伏せて言う梟さんに、これ以上聞くことは出来ないと私はあきらめて頷いたのだが、考えてみれば自分はココからどうやって出れば良いのか分からず、照れ笑いをして梟さんに言った。
「あ、あの〜梟さん」
「ん?どうかしたのか?」
「え〜と……私、迷子なんだけど、何処を通ってどうやったら上にいけるの?」
「クスクス、そういえばそうだったな……では、僕のこの炎に出口まで案内させよう」
梟さんが炎を私の方に投げるように放ると手の平にあった小さな炎はフワリと私の目の前にやってきて私は両手を差し出してその炎を受け取る。
「あ、熱くない……」
「攻撃するための炎ではなく、照らすだけの炎だ。熱さはない……出口までその炎に従っていけばいい。出口につけば自然に消滅する」
「ぅん、梟さん、ありがとう!」
「いや。……地下の床は歩きにくい、こけぬ様に気をつけてな……」
「ん……ねぇ、また来て良い?」
「また?この場所にまたくると言うのか?」
「ん〜場所にって言うより梟さんに会いに」
「……僕に会いに?」
「ダメなの?」
「いや、うん、きてくれると嬉しいかな……」
少し俯いて嬉しそうな笑みを浮かべた梟さんに私は「また来るからね!」と手を振ってその場を後にした。
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