アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

龍印 3

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ごつごつした通路を梟さんが出してくれた炎に従って歩いていくと前方が明るくなってくる。
「ん?出口?」
草のぶら下がる穴から顔を出してみれば、そこは木が沢山茂っている森だった。
少し傾斜のある穴から這うように抜け出して、もう一度周りを良く見回す。
「あれ?ココ……どこ?」
漂っていた梟さんの炎が消え、私はその場に呆然と立ち尽くした。
入ったときの事は全く覚えていない。
でも、外に出た記憶は無いから、屋敷の中からあの場所に行ったはず……でも、出てきたのは外。
「ぅんっと?どうなってんの??」
私が首を捻ってその場で考え込んでいると、私の周りにはいつの間にか小鳥たちが沢山寄ってきていた。
向こうの世界では見たことの無いとても綺麗な小鳥たちは可愛い声で鳴いて私の傍に寄ってくる。
「お腹空いてるの?ごめんね……何も持ってないわ」
「お!み〜つけた!」
「え?」
頭上の、声のしたほうを見上げてみれば、木の枝の上に豹君が立っていた。
豹君は高い木の上にいるのにそのまま飛び降りて、私の目の前にフワリと降り立つ。
「探したんだぜ?」
「わ、私を?」
「当たり前だろ?他に誰を探すんだよ」
「えっと……ありがとう」
「ヘヘッ!なんか照れるな」
お礼を言われて少し頭をかき、ほんのり頬を染めた豹君がとても可愛かった。
「ねぇ、ココ何処?」
「屋敷の裏庭。ほら、アッチに屋敷が見えるだろ?」
豹君が指差した方角の木の上の方にチラリと屋敷の屋根が見える。
「……結構、遠いね(あれ?そんなに歩いたかなぁ?そんな感じはしなかったんだけど……)豹君はずっとこの辺を探してたの?」
「皆で探してたんだけどな。鳥達がさ、コッチにいるって言うから……」
「鳥?鳥ってこの子達?」
「ぅん、俺、動物との意思疎通ができるって言う特殊能力があるから」
「特殊能力……?」
「あっ、そっか、何にも知らないんだっけ。俺達、鬼龍王の一族は生まれながらに特殊能力をそれぞれ持ってるんだ。で、俺は動物との意思疎通に、動物的な能力全て持ってる。暗闇で明かり無しで行動できるのは俺だけなんだぜ」
ヘヘッと自慢気に笑う豹君はスッと私を横抱きにした。
「んじゃ、帰るか……」
「あ、歩けるから別に抱っこしなくて良いよ」
「……言っとくけど、この森、手入れしてないから地面歩くんだったら結構時間かかるけどいいの?俺なら木の枝を渡って飛んでいくからすぐだけど……本当に歩く?」
「……そ、そんなに?」
「うん、岩が道ふさいでるし、木は倒れてるし……俺達ならいざ知らず、凛ってどんくさそうだし……半日以上はかかるかも」
「ど、どんくさ?」
「だってさ〜今まで見てきた女と違って、ちっこいしさ〜。あ、もしかして、ちっこいだけで運動神経抜群とか?」
「うっ!(抜群とは言えない……ま、そこそこはあるだろうけど……でも、半日以上はちょっと嫌かも)」
「どうする?」
「お、お願いします……」
「アハハ!OK〜。ホントに凛は面白いな。んじゃ、行くからしっかり捕まっててよ」
可愛いとか綺麗ならまだしも面白いって表現はどうなんだろ?って思いながらも、豹君に促されて首に腕を回してしっかり抱きつく。
(……聖君と同じ体型に見えたけど……聖君よりもスッゴク筋肉がついてるのね)
そんな事を考えていた私は、あんなに抱っこされる事に赤面していたのに、こう何度も抱っこされると、さすがに抱っこされるれることに慣れてきていた。
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