アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

龍印 5

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「……クソガキがぁ〜また生意気な!」
言いながら振り返るとべ〜と舌を出した燿君がいる。
しかし、すぐに枉君が燿君の傍に行き、燿君の頭を小突いた。
「翳兄さんに叱ってもらうぞ」
「うっ……だってさ〜」
「全く、お前は素直じゃないな。一番に凛を追いかけたくせに……」
「わ、笑ってやろうと思っただけだ!別に心配してたわけじゃない!」
少し顔を赤くしてそっぽを向く燿君に少し可愛いなと思ったのも束の間、燿君は私に向かって歯を見せてイーと憎たらしい顔を見せる。
(……コノヤロウ、舐めてんな、私を……)
負けじと私も思いっきり歯を見せて燿君にイー返しをしてやった。
「……凛殿、一体何をしているので?」
燿君の後ろから現れた泪さんに思わぬ所を見られたと私はイー返しの状態のまま固まってしまう。
泪さんはチラリと燿君を見て溜息混じりに言った。
「燿、お前はどうしてそう凛殿に突っかかるのです」
「泪兄ちゃんには関係ないだろ……」
「またそんな事を……燿」
燿君の頭を撫で様としたのか差し出された泪さんの手を払った燿君はそのまま泣きそうな顔になって走って家へと入っていってしまう。
その様子をボンヤリと眺めていた私の体が再びフワリと宙に浮いた。
「きゃぁ!え?何?」
驚いていると、私の体を横抱きにした聖君が、そこに居て微笑んで私を見る。
「凛、見っけ!」
「い、いや、見つけたからって何故に抱く?」
「ん?こうしておかないとまたどっかに行くかもしれないじゃん?」
「行きたくて行った訳じゃないんだけど……」
ムッと口を尖らせて言う私にアハハと笑った聖君は枉君を見て聞いた。
「枉が見つけたのか?ドコに居た?」
「いや、俺じゃない。豹だ。裏庭に居たようだが……」
(……裏庭。庭ってレベルの広さじゃなかったですけど?どっちかというと森)
「ふ〜ん、裏庭か〜珍しい所に迷い込んだもんだな……」
「あぁ、まさか裏庭だとは思わなかったからな……豹でないと見つけられなかっただろ」
顔に笑顔を浮かべながらも何か考え込んだような聖君。
泪さんも枉も皆が考え込んで、私も何だか黙ってしまった。
「……とにかく、凛殿をお部屋に。話も途中で頓挫していますからね」
「あ、あぁ、そうだな」
泪さんの言葉で、聖君は私を抱きかかえたまま、家へと入っていく。
何だか私が裏庭に居た事が悪いことの様なそんな雰囲気が漂って、私は梟さんに会ったと言う事を言い出せずにいた。
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