アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

龍印 7

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「その昔、我等を救ってくれた光麗が居たんだ」
(……光麗、梟さんの話してたことかしら?)
「その光麗が自分の世界に変えるときに僕達鬼龍王の一族に残した言葉があってね。【鬼龍王の一族、危機に瀕した時、我を呼べ。我の名を持って我を呼べ。我が名は零凛】」
「れ、零凛?!」
私はその名前を聞いて思わず叫んでしまった。
行き成り大声を上げた私に驚いて、聖君が聞いてくる。
「な、何だよ凛。急に大声で……」
「だ、だって……零凛って私の曾々祖母ちゃんの……」
そう、それは私の曾々祖母ちゃんの名前だった。
忘れるはずも無い。
私が生まれたと同時に亡くなったと聞かされ続けてきた名前。
私の呟きに泪さんが言う。
「やはり、凛殿は光麗だったのですね……」
微笑みながら言う泪さんの言葉に余計にパニックを起した私は、ベッドの端に腰掛けていた体をズルズルと後退させて、皆から離れた位置でブルブルと首を横に振った。
「そ、そんな事……急に言われても何すれば良いのかとかわかんないし、第一、零凛祖母ちゃんは私が生まれたと同時に亡くなったって聞いてるだけで……」
「……生まれたと同時に。そうですか、ではやはり凛殿が零凛様の意思をついだ方」
「だ〜か〜ら〜!そうじゃなくって!」
困り果てて半べそをかいている私の代わりに聖君が泪さんに言う。
「泪兄貴、そうじゃなくって。凛が生まれたときに亡くなったって事は、凛は何も教えてもらっても無ければ、何も聞かされてない。つまり何も知らないって事で、そんな状態で光麗だ光麗だって決め付けれても、ただ混乱するだけだろ?」
「さすが聖兄。女の心が良く分かってらっしゃる」
「……枉、貴様、馬鹿にしてんだろ?」
「え〜俺は素直にほめただけだぜ?」
そういってニヤリと笑った枉君に聖君は近寄り首根っこを押さえてじゃれ合っていたが、私はハァと溜息をついた。
聖君の言う通り、私は何も知らない。
親戚から何かを聞いた事も無い。
どちらかといえば邪魔者扱いだったし。
曾々祖母ちゃんの話だって両親から聞いた事も無いもの。
ただ、曾々祖母ちゃんの物だというネックレスだけは大事にしていたけど……。
トスンと私の横の布団が沈んで、視線をそちらに流して見れば、泪さんがニッコリ微笑んで、私の頬を撫でて言う。
「申し訳ない。我等は本当に困り果てていて、古き本に書かれた言葉の通りに召喚をしてみれば貴女が現れたのでとても嬉しくて……。貴女の気持ちも考えずに……」
泪さんの優しい声はとても心地よくって、私は首を横にふった。
「私の方こそ……ごめんなさい。折角説明してくれてたのに。でも、大体の事は梟さんから聞いたから分っているの……」
私が梟さんの名前を出した途端、暴れていた聖君と枉君は静かになり、泪さんは私の頬をなでていた手をピタリと止めて、少し厳しい表情になって私に聞く。
「……梟兄様に会ったのですか?」
「う、うん……さっき」
「さっき?じゃぁ、凛が裏庭に居たのは、やっぱり……」
聖君はそう呟くと1人、部屋を出て行ってしまい、私はあまりにも皆の様子がおかしくなることに首を捻っていた。
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