アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

光麗 2

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体を横たえた布団は、私の部屋に敷きっ放しになっている古い布団とは違って、とってもふんわりと私を包み込む。
(……気持ちいいな)
<凛……凛……>
ゆっくりと意識が沈んでいく中で、私は誰かに、優しい女の人の声に呼ばれた。
(誰?)
<こっち……こっちよ……>
真っ白な世界、私の体は軽くって、地面を蹴ればまるで月面での宇宙飛行士のようにフワッと跳ねて進む。
それが夢の世界で、私自身は眠りについているんだと分るまで、そんなに時間はかからなかった。
夢の世界だけれど、私自身の意識はなんだかハッキリしていて、いつも見ている夢といった感じではない。
(不思議な感覚……)
私は私を呼ぶ声に向かって跳ねて行った。
周りには何もなく、天井も床もあるのか分らない世界で、ただ、声のするほうに行けば行くほど、回りが暗くなっていくような感じがする。
白い世界は灰色に変わり、前方にあるのは真っ黒で、暗闇の世界。
何処までもその暗さが続くようなその空間の手前で私の足は止まった。
(怖い……何故か分らないけど、この暗さが怖いわ)
自然と私の足はジリッと後ずさる。
<凛、コッチに来て……>
(嫌よ……そっちは嫌……あっ!)
後ずさって、声に逆らうように嫌がる私の足に、暗闇から伸びた無数の手が絡みついた。
<コッチに来い……コッチに来るんだ>
暗闇から聞こえていた優しい女の人の声は、濁声に近い、低い唸るような声となって私の足を引き摺り、闇に連れ込もうとしてくる。
(嫌!嫌だったら!!やめて……やめて!!)
私が叫んだ時、私の腕から緑色の光が眩しいほどに輝き、私に絡み付いてきていたその黒い影は断末魔の叫びをあげ、手を離した。
<ぐあぁぁ!!お、おのれ!>
緑の光に私自身もボンヤリとして、その場でフラフラする。
闇はそんな私をなおも自分の領域へ引きずり込もうと必死で影を伸ばしてきていたが、私は不意にグイッと体を抱え込まれ、私は闇の空間から抜け出した。
(……誰?……)
ボンヤリとした意識の中で、灰色の空間をぬけ、真っ白な空間へ戻ってきた時、私はそっとその空間に寝かされる。
私の頭を撫でるその手には覚えがある様な気がしたが、意識がまったく定まらず考えられない。
(ねぇ、アナタは誰?)
そう聞く私の質問に答える事無く、そっと、私の唇に温かくやわらかいものが重なった。
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