アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

光麗 4

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(これは……)
≪何者の干渉も受けない空間です。こうしなければあの奥にある闇に捕らわれてしまう……≫
(闇?)
≪凛、アナタが自分の体内に吸い込んだ闇の力です≫
(吸い込んだ?)
≪先ほど石像から現れた珠から闇を吸収したでしょう?≫
ニッコリ微笑んでそういう零凛にそういえばと、思い出して頷く。
≪光麗とはあらゆる物を浄化し、正しき道へ導く穢れ無き存在の事。純粋なる者の事。故にこの世界のどんな力の影響も受けません。純粋な存在ゆえ、ゆがみの多い、アナタにとって現代だったあの世界では、この力は悪影響を及ぼします……≫
チラリと私の方を見て言う零凛の言いたいことがなんとなくわかった様な気がした。
(両親が死んだ事も、そのほかの不幸も全て私のせいだったのね)
≪凛、勘違いしないで。確かに悪影響は及ぼすけれど全てがすべて、アナタのせいと言うわけでは無い。その様に思うのは間違いだし、アナタがそれを悲観するのはおかしいわ≫
(だったら、知りたくなかったわ……)
≪いいえ、アナタは光麗としてこの地に降り立った。そして龍印を使える存在であるのは間違いない。ならば、自らの力を理解し、自らでそれを超えていかねばならないわ。知らなければならない事なの。アナタの力は今までの私達の持っていた力とは違って異色で、とても強い。今までの誰よりも濃い血を受け継いで生まれてきてしまっている。だからこそ、知らなければならない……嫌な事も全てね≫
諭すように言う零凛は恐らく私が泣き崩れると思っただろう。
私が怒鳴ると思ったかもしれない。
でも、突然の事だったが、私の頭は意外に冷静だった。
涙も出なければ、怒りも沸きあがってこない、零凛の言う事を素直に頭に沈めていく。
おそらく……
私はきっと何処かで自分のせいだろうと感じ取っていたのかもしれない。
そして、その謎がやっと解けた気がして、納得したのだと思う。
ただ、その話しを聞いて少し気になることがあった。
(ねぇ、教えて……)
≪何かしら?≫
(私は……この世界でも全ての人を、私の周りにいる人たちを不幸にしていくのかしら?)
そう聞いた私の体をふわりと温かい柔らかい風が包み込んでその温かさは優しい声で囁く。
≪アナタのもってうまれた力はこの異世界ではそれほど影響をあたえないはずよ。ただ、さっきも言った通り、私の持っていた力とも、私達の一族にあった力とも似ているようであって、凛の力は少し違う。だからどうなるかそれは私にも分らない……、でもね、凛。力を知ったのであればその使い方はアナタ次第なの。アナタはこの世界の人たちを不幸にしたいと思っている?≫
(そんな事、思うわけが無いわ!)
≪だったら。大丈夫よ……力にのまれてはいけない。力に自惚れてはいけない。心があってそこに力があるだから≫
零凛は足元に広がる闇を見つめて悲しそうな表情をした。
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