アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

光麗 6

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(……私はその侘瑠火を零凛のように光に封じる為にいるのね)
≪そう、アナタはそのためにココに居るといってもいい。ただ、体内に入れた闇を浄化しきれないアナタではいけないわ≫
少し瞳を伏せ、考え込んだ零凛はスッと私の頬を優しく撫でて言う。
≪私は今すぐにでもアナタをもと居た世界に戻すことができます。アナタの意思を聞きたいわ≫
(私の……意思?)
≪そう、アナタの思い。このままこの世界の事は夢として現代に戻るのか、それとも、この世界に留まって侘瑠火を封印するのか……≫
零凛の急な問いかけに私は一瞬惑った。
私はたった今、自分の存在の理由を知り、この世界に居てなすべき事を教わった所なのに、急にどうするかを問われたのだから当然の戸惑い。
(私は侘瑠火を封印できるかしら?)
思わず呟くように出てしまった質問に零凛は首を横に振った。
≪先ほども言った通り、アナタは自分の体内に招きいれた闇すら浄化できずに居る。今のアナタでは無理だわ≫
(じゃぁ、私がココに居る意味は無いのね)
≪今のアナタはと言ったでしょう?龍印を持つ以上、アナタにその力は存在している。何よりも、この世界でアナタにしか、龍印を持つ光麗であるアナタにしか出来ない事なのよ。本来の光麗として目覚めるには、アナタはアナタ自身を磨かなければならない≫
(……そんな事、どうすればいいかわからないもの)
≪大丈夫。侘瑠火と言う存在が、古の私が封じたDarkSideAngel〜ダークサイドエンゼル〜だと知る者がただ1人存在します。その者の所でアナタ自身を磨きなさい……ただし、生半可な気持ちでは無理です。私とは違い、浄化できぬ存在であるアナタは恐らく私以上に苦しむ事になるでしょう……ですから……≫
瞳を閉じて、少しその瞳に涙を浮かべる零凛は言葉を詰まらせる。
彼女にとっても本位ではないのだろう……それだけ、苦しい思いをするかもしれないのだろう、そう思いながらも私の心は既に1つの結論に達していた。
私の頬に優しく存在する零凛の手を握り締め、私は笑顔を零凛に向けて言う。
(私、ココが好き、まだ会ってそんなに経ってないけど皆も好きだわ。そんな人達を放り出して私が現代に帰れるわけが無いもの……)
≪凛……≫
(苦しいことがあったって平気よ。現代でだって十分苦しんだわ……零凛、教えて。私が本来の光麗として目覚める方法を……)
零凛は両手で私の頬を包み込むと、涙を一筋こぼして微笑んだ。
≪凛、ありがとう……そして、アナタにこんな運命を背負わせてしまってごめんなさい……≫
(そんな事……んっ!)
両頬を包み込んだ零凛の顔が私に近づき、私の唇と重なって、温かさが私を包みこむ。
(あっ……)
≪凛……私はかつて零凛と呼ばれたものの力の一部。アナタが光麗として目覚めるまで、アナタの力を補佐しましょう……≫
枯れた大地に水がしみこんでいくように私の中に零凛が入り込みそう言うと、私の体は光り始め、辺りにあった黒い闇を蒸発させるように消滅させながら大きくはじけるように輝いた。
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