アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

光麗 7

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まるで体の中の光に意識を追い出されるようにして目を覚ました私はゆっくりと上体を起こし、なんだか頭の中でチカチカと光が輝いているようなそんな感覚に頭を振る。
「……カメラのフラッシュをいっぱい浴びたみたいな感じで気持ち悪い……」
湧き上がってくるような吐き気に似た気持ち悪さに口を手で覆って、ハッとした。
「ネックレスが……」
ブレスレットのようにしていたネックレスの深い緑色をしていた翡翠の石がなくなってしまっている。
周りを探してもカケラすら見つからず、割れたわけでもなさそうで、私が首をかしげていると私の頭の中に優しい零凛の声が響いた。
≪翡翠は零凛の力の結晶。先ほど私は凛の中に同化しました……石が無くなって当然なのですよ≫
「……零凛?」
≪えぇ。完全に1つになるまではまだ時間がかかりますし、私はアナタに教えなければならない事も沢山ある。暫くはアナタの中で存在します……≫
「なんだか……ややこしい」
≪クス、大丈夫です。私はアナタを邪魔したりはしませんよ≫
零凛に言われ、そりゃそうだけど……と思いながら、でもやっぱり自分の中に、もう1つの人格的なものがあるかと思うとそれはそれで、ややこしい……。
そんな事を考え、は〜っと溜息をついてベッドから抜け出して、机の上においてある水を口に含んだ。
爽やかなミントの香りのするその水が体の中にしみこんでいくようで、ミントの香りに徐々に眩暈を起こしたようにクラクラしていた頭もはっきりとしてくる。
「気にしてもしようが無いことなのかもね」
「気にするって、何を?」
私の呟きに部屋のドアの方から声がして、視線をドアに向けてみれば、そこには燿君が立っていた。
「……レディの部屋に入るならノックぐらいしなさいよね」
「だって、凛ったらずっと寝てるし、まだ寝てると思ったから起こさないようにと思ってさ。そしたら起きて1人でブツブツ話してんだもん……」
ムッと頬を膨らませてくる燿君の傍に歩いていって、燿君を見上げながら私は聞く。
「ずっと?……ずっとって?」
「アレからもう3日も経ってるんだよ?皆心配してかわるがわる様子を見てたんだ」
「み、3日?!そんなに寝てたの?!」
「うん、何かあったんじゃないかと思ったけど、悪い気配はしないって翳兄さんが言うから、とりあえず、交代で様子を見てんたんだ……」
まさか自分がそんなに惰眠を貪っていたとは思わず、驚きながらも、心配をかけてしまったことに申し訳なく思って燿君に「ごめんね」と呟いた。
少し照れた風に首を横に振った燿君の姿を見ながら、私は私の頭の中で響く零凛の言葉を聞く。
≪初めて龍印を使ったのです。それだけの疲労があって当然でしょう……何より、アナタは体内での浄化が上手く働いていないですから……≫
(……やっぱり……ややこしい)
≪暫くの間だけです。馴れなさい……それより、砂我羅の所へ参りましょう。話があります≫
(は、話って。私は無いわよ)
≪私があるのです。砂我羅と話す間、暫く体を借りますよ≫
(え?ちょ、ちょっと……そんな勝手な)
一方的に言う零凛に私は反論しようとしたが、零凛はそのまま気配を消し、仕方なく私は燿君に砂我羅さんの居場所を聞いて、その場所に案内してもらった。
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