アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

光麗 9

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一向に話しをしようとしない砂我羅さんに痺れを切らして零凛が言う。
≪何か問題でも?≫
零凛の言葉にビクリと体をゆらし、溜息をついて困惑した表情を浮かべる砂我羅さん。
砂我羅さんは私の手を握ったまま立ち上がり、近くの椅子まで連れて行って、零凛を座らせ自分も私の目の前にある椅子に腰掛けて話し始めた。
「光麗様はご存じないと思いますが、数ヶ月前の事です。我が長男でもある梟が乱心いたしました」
≪零凛で結構。……燿という者の母親が犠牲になったと言う件ですね≫
「ご存知でしたか……」
≪詳しい事は知りません……凛があのバラ園で力を発動したときにその母と意識を通わせたのである程度は知っています。ただ、状況しか分りませんけど≫
「やはり、燿の言う通り、あのバラ園の事は凛殿が?」
≪まだ信じられないのですか?≫
「いえ。そういうわけではありませんが……」
口篭る砂我羅さんは見ただけで納得のいっていない表情でそう言い、私は思わず呟いてしまう。
(失礼なオヤジね〜やな感じ)
私の呟きにククッと零凛が笑った。
零凛が微笑を見せたので、砂我羅さんは零凛に尋ねる。
「あの、何か?」
≪いや、何でも。今はまだ信じられぬかも知れぬが、凛が確かに光麗であると時間が経てば分るだろう。そのためにアーリーに会いたいのです≫
「はい……それですが。梟は侘瑠火の存在にいち早く気付き、宮廷に出入りしてその存在を探っておりましたが、ある日、帰宅した梟はその姿をドラゴンに変え、父であろうと兄弟であろうとかまうことなく暴れました。燿の母は己の身を犠牲にし、血の結界で梟を束縛し、我等は梟に呪詛をかけて地下牢に何とか閉じ込めたのです」
≪……そう、闇に……当てられたのですね≫
「闇に?しかし、梟は闇の力を使います。闇に当てられるなど……」
≪思い違いをしてはいけません。闇には2種類あるのです。侘瑠火の闇に光がさす事はありません……光あっての闇、闇あっての光。その理屈が当てはまらないのが侘瑠火という存在……≫
零凛は眉間にしわを寄せ、悲しげな表情をして、テーブルに飾られている花を見つめる。
その心の中はざわついて、様々な感情が揺れ動いているのが私には分った。
(……零凛、怒ってるの?悲しんでいるの?どっち?)
私の問いかけに零凛が答えることは無く、零凛は砂我羅さんと話す。
≪で、それがアーリーと何の関係があるのです?≫
「はい、ドラゴンへと変貌してしまった梟を戻すべく、我等は真っ先に知識の魔法使いでもあられるアーリー様に助けを求めました。しかし、助けを請う事はできなかったのです」
≪何が?≫
「アーリー様が住んでおられる東の森全体に結界が張られていたのです」
≪結界?≫
「我が一族の者の誰もが干渉することも出来ない結界です」
≪誰も……≫
そういって考え込んだ零凛は砂我羅さんに全ての子供達を集めるように言った。
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