アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

侘瑠火 1

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「フゥ……」
私はなんだか溜息をつき、少し不機嫌。
≪なんです?不満ですと言わんばかりの態度ですね≫
私の溜息と私の気持ちを察した零凛がそう言い、私は心の中で答えた。
(当たり前でしょ!急に旅に出るなんて聞いて無いし、第一!こんな野宿状態になるだなんて思っても無かったもの)
≪しかし、アナタに必要な事なのですから多少の事は我慢なさい≫
(多少の……)
≪なれないアナタの為に、こうして砂我羅の息子達が居るでしょ?≫
ホホホと軽く笑ってそう答えた零凛に私はもう1つ溜息をつく。
あの後――
零凛は砂我羅さんに息子を呼び寄せさせて、やってきた7人に向かって言った。
≪砂我羅の息子達ですね。私は零凛。かつてこの地で光麗として存在したものの意識と力の一部です≫
勿論、見た目は私なんだから、7人とも呆然と驚いていたけれど、零凛はそんな事気にしない。
≪アナタ達にとって異世界である場所で暮らしてきた凛は光麗としてはまだまだです。そのため、東の森のアーリーの元へ行きたいと思います≫
「東の森?……あそこは確か封印が……」
そう呟いた翳さんに、零凛はニッコリ微笑んで頷いた。
≪先ほど砂我羅に聞きました。封印の事は大丈夫です。恐らく、誰かにかけられたものでも、何でもありませんから≫
「それは一体……」
≪疑問は一緒に来る事で解けるでしょう。アナタ方7人には凛と共に東の森に行っていただきます≫
零凛の言葉に7人は互いに顔を見合わせ、思わず枉君がつぶやく。
「俺達全員?」
≪えぇ。凛1人で行けるわけも無いでしょう?それに、アナタ方もアーリーに会う必要があるのです≫
豹君と燿君、袁君に聖はすぐさま「俺は行く」と立ち上がったが、泪さん達は少し顔を曇らせ、零凛はその様子を見てすぐさま言葉を付け足した。
≪大丈夫、その間、この場所は砂我羅が守ってくれます。そうでしょう?砂我羅≫
「はい、勿論です」
私に対して凄くえらそうだった砂我羅さんは、零凛の言葉に深く頭を下げる。
そして、あわただしく出発の準備がされて、私は私の意見と言うものを一切言わせてもらえないまま東の森に向かう事になってしまったのだ。
「……私の体だってのにさ〜私の意思は関係無しなんだもん」
皆が張ってくれたテントの中でブツッと口に出して文句を言った私の言葉に、テントの中を照らす為、指先に出した炎で蝋燭に火をつけていた燿君がクスッと笑って声をかけてきた。
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