アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

侘瑠火 2

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「年の割に諦めが悪くて文句が多いな」
ニヤニヤと笑って言う燿君に近くにあった綺麗なクッションを掴んで投げる。
「年の割には余計だ!」
「って!」
バフンと燿君の横顔に見事にヒットして、その衝撃で燿君の指の先に灯っていた炎がボスときえた。
「ったく、乱暴者」
床に落ちたクッションを手に、私に近づいてきた燿君はクッションを私の頭に乗せて、隣に腰を下ろす。
「ずっとブスくれてんのな〜可愛くねぇ」
「フン、どうせ可愛くない年増ですよぉ〜だ」
ムッと口を尖らせ、クッションを抱きかかえて言う私に少々燿君は苦笑いをした。
「もう街を離れて大分経つのに、いつまで不機嫌で居るつもり?」
「だって、理不尽な事をされて不機嫌にならない人のほうが珍しいわよ」
「理不尽?」
「勝手に体を乗っ取られて、好き勝手やってくれて『多少の事は我慢なさい』なのよ?この世界の事を理解できないまま、行き成りRPGバリの旅をさせるし」
「RPG?なんだそれ?」
「……そうよね、わかんないわよね。なんていうか夢の中のことが突然現実になったって感じよ」
首をかしげる燿君にそういって、私はため息をつきながらその場にうつぶせた。

テントとは言うものの、現代と違い、薄い布を広げて、杭を打ってなんて面倒な事はしなくて良い魔法で出されたテント。
この旅での荷物は殆ど無い。大きな荷物を持つ必要性が無いの。
殆どの用事は数種類の小瓶があれば事足りるらしい。
何時見ても不思議なんだけど、小瓶に入ったいろんな色の液体を目的に合わせてそのまま使ったり混ぜ合わせたりして、呪文を唱えればソコに目的の物が現れる。
テントはとっても綺麗な青い色。テレビで見た事のある南の島の綺麗な海の色にそっくり。
そうして現れたテントはテントと思えない程、床はフワフワ。ベッドなんて要らない位。
皆で使おうって言ったのに、このテントを使うのは私だけ。どんなに言っても皆、テントで休もうとはしなかった。
私もテントなんて要らないとはいえなかった。だって野宿なんてしたこと無いんだもの。
皆は外で見張りを交代しながら木の根元や、土の上でごろんと眠る。
見張りがね、無いととっても危険だから。

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