アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

侘瑠火 6

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顔を見合わせた後、フゥと溜息混じりに燿君がじっとりと枉君を睨みつけて言う。
「枉兄が変な事言うから、凛が……」
「な!俺のせいだって言うのか?!」
「だってそうだろ?あんな風に言われれば誰だって疑問に思うさ……だから見て見ぬ振りして俺に全部任せておけば」
「それは却下だ!ちゃんと約束しただろ?!凛は皆の凛だぞ!」
枉君が思わず漏らした言葉に、燿君の顔がゆがむ。
そりゃそうよね〜そこまで言えば誰だってわかるわ。
「皆の凛……ね。何を企んでいるのか知らないけれど、私は誰の物でも無いわよ」
「え、あ、そりゃそうだ……」
私の一言にタジタジと答えた枉君はそっと私から手を離して、少し距離をとる。
枉君はどうやらあんな風貌をしているけれど、嘘のつけない素直な子なのね。
ジリッと枉君に詰め寄って、私は枉君に聞く。
「約束って内容をシッカリ聞かせてもらいたいんだけど」
「あぅ……お、俺からは言えねぇ」
そっぽを向いて私に答える枉君。
後ろではクスクスその様子を笑っている燿君が居て、私はチラリと燿君の方へ視線を動かし、燿君を眺めれば、燿君はビクンと体を揺らしてそっぽを向いた。
(な〜んか、やな感じ)
フゥッと私が溜息をついて2人に言葉をかけようとしたとき、私の口から出た言葉は私の言葉じゃなかった。
「どうせ、砂我羅がへんな事を貴方達兄弟に言って聞かせたんでしょう?」
(だ!零凛!ま、また勝手に!!)
「気にしない、気にしない」
(気にするっての!代わりましょうとか、そういうの無いの?!)
「凛は煩いわね〜小姑みたい……」
好き勝手言う零凛に呆れて言葉も出ない。
少し位は私に配慮してくれてもいいんじゃない?ムッとしてそう思っていると、1人喋っている私に燿君が恐る恐る聞いてきた。
「り、凛?独り言?」
「あら、ごめんなさい。私は零凛よ」
「零凛?どうして?」
「もめてたみたいだから仲裁に」
(仲裁になってない!)
「と言うのは建前……」
(はぁ?!建前って何よ!)
「他の兄弟たちは外かしら?」
私の声に明らかに無視して、零凛は枉君に聞き、頷いたのをみてテントを後にした。


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