アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

東の森のアーリー 2

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勿論、風であるアーリーさんにそれらがあたるわけも無く、通り抜けたそれらははるか向こうで爆音を響かせる。
アーリーさんは一瞬その形を崩しただけですぐに元通りになった。
「え?あれ……なに?」
それが一体何なのか、それに驚いて呆然としている私の肩の辺りに腕が現れ、その腕は私をギュッと抱きしめる。
私の体に巻きついた腕に自分の手を乗せて、見上げてみればそれは豹君。
まるで犬が威嚇をするようにアーリーさんを睨みつけていた。
更に周りを見渡すと、私の周りに皆が集まって、翳さん達それぞれがそれぞれにアーリーさんを睨みつけ、戦闘態勢。
私の顔にはヒクヒクとした引きつった笑いが起こっていた。
「あぅ……も、もしかして、皆、アーリーさんを攻撃なんてしてないよね?」
私が呟くと、チラリと私の方を見て燿君が言う。
「……攻撃したが?それがどうした?」
「こ、攻撃したって!えぇ?!」
さらりと言ってのけた燿君にびっくりして豹君を見ればウンウンと頷いていた。
「ちょ、ウンウンじゃないでしょ!今からお世話になる人を攻撃したの?!」
「当然だろう?」
フンと顔をそむけ鼻を鳴らして言う燿君に私はワタワタと慌てる。
「当然じゃないでしょ!えっと、炎に木、風と水蒸気…ってことは、燿君、枉君、袁君に……る、泪さんまで?」
それぞれが持っている力を1つ1つ確認してみれば、物静かで私には無関心かと思っていた泪さんまでが攻撃に参加していた事に驚いて、泪さんをみると少し赤くなっているようだった。
「フフフ、立派なボディーガード達だね」
微笑んで言うアーリーさんに私は「ごめんなさい!」とペコリと頭を下げ、それをみて私を抱きかかえている豹君がフンとふてくされて言う。
「……謝る必要なんてねぇよ。アイツが悪いんだ」
「ちょ、ちょっと!豹君!」
「だってそうだろ?会ったばっかりの上に実体でもないくせに凛に……」
「わ、私?私に何?」
「馴れ馴れしくしやがって……」
「そんな事で攻撃したの?!」
「十分重要な事だよ」
私の「そんな事」って言葉に不機嫌になったのは豹君だけではないようで、じっとりと見つめる皆の視線に苦笑い。
「(……意味わかんない。何がきっかけでそうなるわけ?)」
溜息半分にそう思えば零凛が口を出す。
(クスクス、分らないの?本当に?)
「(なによ、文句でもあるわけ?)」
(別に……ただ、私の子孫にしてはちょっと鈍感だと思っただけよ)
「(……嫌な感じ)」
相変わらず失礼な事を抜かす先祖にムッとしていると、緑の風が揺らめく。
「ココに長居するのは得策ではありません。とりあえず、私の森まで着ていただけますか?」
「そ、そうよね。皆、とりあえず行こうよ」
アーリーさんの声に私が皆に笑顔で言えば、皆は渋々頷いて、ゆっくりアーリーさんの作った緑の通路を歩き出した。





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