アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

東の森のアーリー 4

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小屋に一歩入ってビックリ。
外見はテレビで見たことのある小さなログハウス調の山小屋のようなものだったのに、入ってみるとそこは鬼龍王の砂我羅さんのお城よりもずっと広いエントランスを持ったお屋敷だった。
「さ、コチラへ」
アーリーさんはエントランスの左側にあるドアを開いてそう言ったが、あまりの違いに私は一人キョロキョロする。
「え?あれ?」
私の様子に泪さんが横に来て私の肩に手を置きにっこり微笑んだ。
「凛、コレは空間の力です」
「空間の力?」
「袁も同じ力を持ってますが、アーリー様には及びません。ココは先ほど居た空間とは別の場所そして、別の時間軸の中にあるのです」
「クスクス、そうです。さすがは鬼龍王の三男坊ですね。以前会った時は腰ほどの高さのお子様でしたが……」
「へぇ、アーリーさんは泪さんに会ったことあるの?」
私の手を握っていた聖君の手と肩に置かれた泪さんの手をはずして、アーリーさんに駆け寄って聞けば、アーリーさんは頷く。
「実際にあっているのは梟、翳、泪が小さな頃までですね。もともと、私はこの森とこの屋敷から出る事は無かったですし、私がこの森に結界を張ってからは尋ねてくる者も少なくなり、そして、拒みましたから」
「どうして?」
「それが私の役割だったからです。光麗と共に来なければ鬼龍王の者と言えど会う事は出来ない」
「ふ〜ん、どうしてこの屋敷と森から出ないの?」
私の質問にニッコリ笑って私の手をとり、部屋の中にあるソファーに私を座らせて、アーリーさんは続けた。
「私はその昔、零凛と共にDarkSideAngel(ダークサイドエンジェル)という今の侘瑠火と同等の存在を封印しました」
「うん、知ってる。で?」
それがどうしたの?と首をかしげてアーリーさんの言葉の続きを聞こうとした私に燿君が言う。
「凛、お前さ〜もしかして本当に馬鹿なんじゃないのか?」
「な!失礼ね!コレでも大学ではいつも成績は上位クラスにいたわよ!」
「だったらさ〜良く考えてみろよ。以前の光麗がこの世界に現れたのは俺達ですら伝承っていう形なんだぞ?」
「伝承?……はぅ!も、もしかして、アーリーさんってスッゴイお年寄り?!」
(違ぁ〜〜う!!)
「そこじゃねぇ!」
私の「お年寄り」発言に零凛と燿君が叫んで、私はムッと口を尖らせた。
「……じゃぁ、何なのよ」
(それだけ長い時を生きてるって言う事に驚きなさい!)
「どんだけ長生きかって事だろ!」
「(ス、ステレオ……)あぁ、そう言う事」
成程、いわれてみれば。と感心して頷くと呆れた様子でハァと溜息をつく燿君。
そして、少し引きつった笑顔で翳さんまでが私に言う。
「凛、そう言う事って、簡単に言いますが……」
「だって、零凛と一緒にってことは、アーリーさんは鬼龍王の一族でしょ?鬼龍王って長命だって……」
「幾ら鬼龍王の一族が長命でもココまで長く生きることは出来ません」
「え?そうなの?」
ククク、と堪え笑いをしているのは聖君。
「そんだけ普通に生きてる事ができれば幾らこの世界でも化け物だ」
「ふ〜ん、そうなんだ。あれ?じゃぁどうしてアーリーさんは生きてるの?」
「だから!そこを気付けって言ってんだよ」
「燿君、煩い。今気づいたんだからいいじゃない。あ!って事はお化け?」
「ふふ、私はお化けではありませんよ、凛。全てはこの空間のおかげ」
「このお屋敷の?」
首をかしげる私の目の前に座ったアーリーさんの姿を見て、パタパタと慌てて燿君と豹君が私の両隣に腰を下ろす。
(何故に隣に座る?狭いんだけど……)
元々2人掛けの椅子。
3人も座ればギュウギュウで、窮屈になって私は席を立ち、アーリーさんの隣に腰掛けた。





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