アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

東の森のアーリー 5

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ふと、前を見てみれば眉間に皺をよせた豹君と燿君がいる。
「……凛、どうしてそっちに行くんだよ」
スッゴク不機嫌に、私を見て言う燿君。
燿君の言葉にウンウンと首を縦に振って同意している豹君。
2人の様子にハァって溜息混じりに息を吐いて私は答えた。
「だって、3人も座ったら狭いじゃない」
「じゃぁ俺が立つから燿の隣に座れよ」
豹君が立ち上がり、ムッと口をへの字に曲げたまま言うが、何だかそんな風に言われると逆らいたくなってしまう。
「いいわよ、別にココで。それに私がドコに座ってもいいじゃない?」
「そりゃそうだけど、だからって、そいつの隣に行かなくてもいいだろ?」
「あのね〜豹君。アーリーさんにこれからお世話になるのよ?『そいつ』は無いでしょ?」
呆れたように私が言えば、横から燿君がキッとアーリーさんを睨んだ。
「フン!そいつで十分だ」
「もう!燿君!」
腰を上げて燿君に怒鳴りつけようとした私の腕を取って、アーリーさんが私の体を静止する。
「フフ、凛、いいんですよ」
「でも……」
「いいんです。それで……」
それでいいと言うアーリーさんの言葉に首をかしげたが、それよりもなによりも、失礼極まりない連中に申し訳なくって目を伏せ、少しだけ立ち上がった腰を再びソファーに戻した。
アーリーさんはクスリと笑って私に言う。
「彼等がアナタの隣に座ったのは、アナタの隣に誰も来ないようにするためだったんですよ。特に私をね」
「はぁ?どうして?」
アーリーさんの言う事が今ひとつ分からないし、何より、そういう態度をとる燿君たちの事も分らない。
しかも、それだけの事に何をそんなにムキになる事があるのかサッパリ。
(……ニブチン。鈍感。あんぽんたん)
素直な疑問を思っただけなのに、零凛は私の中で悪態つく。
零凛の態度にムッとしていると、アーリーさんがニッコリ笑って私の肩を抱き、それを見てザワッと周りの空気が変わった。
「(……えっと、なんですか?またこの戦闘モード突入的な空気は)」
(ま〜だわかんないの?……本当に、お馬鹿、お間抜け)
「(さっきから煩いわね〜。言いたい事があるならはっきり言ってよ)」
(面倒だからやめておくわ。言った所でアナタわかんないだろうし)
アーリーさんが居るせいか、表には出てこないものの、私の中でひたすら偉そうにフフンと言う零凛の声を察したのか、それとも私の顔に機嫌の悪さが出てしまっているのか、アーリーさんは私の肩を引き寄せてそっと耳元で囁く。
「鬼龍王のお坊ちゃま達は私がアナタを奪い取っていくと思ってるんですよ」
「アーリーさんが?私を?……あの〜それがどうして戦闘モードONって感じになるんでしょう?」
「フフ、それは、ご本人たちに聞いてみてはいかがです?」
少し意地悪にそういうアーリーさん。
「……意外にアーリーさんも零凛にそっくりかも」
「かも知れないですね……なんせ零凛は私の愛する人でしたから」
「え?!」
驚く私にアーリーさんは優しい笑顔を向けた。
愛する人って……零凛が?
アーリーさんの言う事に意味が分らずとにかく頭の中は?が飛びまくってたけれど、アーリーさんはそれ以上何かを言ってくれることなく、私の肩を抱いたまま、兄弟達に声をかけた。





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