アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

オセロな気分 1

イメージ


「凛……凛、いい加減に起きなさい」
ふわふわとした気持ち良さの中、自分を呼ぶ声が耳に届いたけれど、あまりの気持ちよさに私は寝返りを打って布団にもぐりこみ、顔を枕にうずめる。
「凛!凛ってば!」
「ぅ……ん、煩いなぁ」
「なっ!煩いですって?!」
ムッとした声が聞こえた瞬間、私の体は思いっきり揺さぶられ、しぶしぶ目を覚ました視線の先に零凛の顔がドアップで現れて、私は驚き飛び起きた。
「わっ!何?!」
「何じゃ無いでしょ?こんな時にいつまで惰眠をむさぼる気?」
「だ、惰眠って、別に私は寝たくて寝たわけじゃ……」
「お黙り!」
私の言い分はそこそこにして怒鳴った零凛にムッと頬を膨らませれば、横からアーリーさんが仕様が無いといったあきれた微笑を向けて零凛に言う。
「零凛、そのように責め立てるもんじゃありません。アナタは本当にいつまでたってもせっかちで自分勝手なんですから」
「う、うるさいなぁ」
アーリーさんが話し始めれば、今度は零凛の頬が膨らんで、私の口の端は自然とニヤッと上がった。
本当に零凛はアーリーさんが苦手らしく、私に対する強気な態度は一瞬にして沈み込んでしまう。
(この2人、どういう関係なんだろ?恋人同士だったのかなぁ?でも、零凛は向こうの世界に戻って曾々おじいちゃんと結婚したんだから違うのかな〜?)
そんな事を思って膨れっ面の零凛を眺めてハッとした。
「そ、そういえば、零凛どうしてココにいるの?私の中に居たんでしょ?どうして?」
首をかしげる私にアーリーさんが微笑みながらベッドに腰掛け、私の頭をなでて言う。
「私がアナタの中から零凛の精神だけを抜き取りました。そうでもしないと凛が煩くてかなわないでしょう?」
「う、煩いって」
「うん、確かに」
「凛まで!」
私とアーリーさんの言い分に零凛はますます機嫌が悪くなったが、私は少しざまぁみろといった感じで零凛がふてくされるのを見、プッと噴出し笑うのをこらえて、アーリーさんに聞いた。
「私から零凛だけをって、そんな事、できるんだ」
「えぇ、この空間でならですけどね。この空間は私が作り出した私の空間、私の力がもっとも発揮できる場所なんですよ」
「フン、だからって別に離さなくても私は凛の中に居てもかまわなかったのに」
「かまわなかったじゃなくって、居たかったんでしょ?こうして私に小言を言われず、好き勝手に悪態つけるんですからね。でも、それだと凛を困らせるでしょう?」
くすくす笑って言うアーリーさんにやっぱり零凛はムッとするだけで言い返すことなく、私はアーリーさんの言い分に思いっきり肯定するように首を縦に振れば、零凛がチラリと横目で私を見て、チョイッと人差し指をアーリーさんに分からないように振る。
ボン!!と頭の上で大きな音がして、私は自分の頭上がなんだか重たくなるのを感じた。




イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

応援ヨロシクです♪イメージ
inserted by FC2 system