アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

オセロな気分 3

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「コラ!オルタ様に失礼しないの。キチンとした言葉使いでちゃんと接しなさい」
零凛に小突かれて、私の機嫌は益々悪くなる。これがアーリーさんならもう少し機嫌も治まったかもしれないが、言われたのが零凛じゃ私の気持ちを逆なでて居るようなもの。
キッと零凛を睨み付け、私の頭の上に乗っている零凛の手をバシンと払えば、私と零凛の間にビリッとした静電気のような電気が流れ、零凛はスイッと私と距離を置く。
(……今の、何?)
電気は暫く空中にフワフワとその形を保って、スッと空気に溶け込んだ。
その電気を見て、零凛は少し離れた場所から私を見て「どうして?」とポツリと小さな声で呟き、鋭い目つきになって私を睨む。
「凛、オルタ様を放しなさい」
「……そんな言い方されて『うん、わかった』って言うと思う?」
フンと私は鼻息を目の前でぶら下がっているオルタという猫もどきの狐に吹きかけた。
「ちゃんと接して欲しいなら、ちゃんとした紹介の仕方をするのが道理でしょ?こんなふざけたやり方されて、何も分らないのに偉そうに言ってくる奴になんの礼儀を示せって言うのよ」
フーっと続けてオルタの髭に向かって息を吹きかければ、オルタは猫の顔洗いのように、前足で顔をこする。
「にゃ〜!止めるニィ〜!」
「凛!!いい加減に……」
「何よ、文句は受け付けないわよ」
「何ですって?!子孫の癖に生意気な!」
「な〜にが子孫よ。貴女は本体ってわけじゃなくって曾々お祖母ちゃんの力が残ったもの、言ってみれば残り物でしょ?そんなのに子孫とか言われたくない」
「の、残り物……この!」
眉間に皺を寄せフルフルと振るえて、零凛は手の平に何だか光り輝く球状のものを作り出す。恐らく攻撃用。手加減して放つだろうけど、見たことの無い術にクッと私も身を縮め身構えた。
「や、止めなさい!零凛!」
アーリーさんの声が聞こえ、薄目を開ければ、零凛の手から光の球は放たれ、まっすぐ私に向かってくる。
(何よ!私は悪くないのに!!)
こんな術、防ぐ方法なんてもちろん知らない。
逃げれば良いんだろうけど、なぜか足が動かなくって、私はただその場でギュッと目を閉じて、どんな痛みが走るのか分らない攻撃をその身に受けようとしていた。
バシーン!!
耳元で大きく何かがはじけるような音がして、硬く閉じた瞼の向こうが明るくなり、私はゆっくり目を開ける。
「な、何?」
つかんでいたはずのオルタの尻尾は私の手からいつの間にか抜け出て、オルタは私の目の前でフワリと浮いて尻尾を揺らしていた。
毛色と同じ白と黒のオーラがオルタを囲み、ユラリと揺れ動くその二色のオーラは背筋をゾクリとさせる。
「全く、どっちもどっち。いい加減にせんか」
静かに響く声に、私は目を細めてオルタを見つめた。
「……猫語はどうしたの?それが本質って所?」
「ククク、この我を見て正気を保てるとは面白い。中々の素材だが、光麗としては欠陥品だな」
「?。どういうこと?欠陥品って……」
「ならば、あれを見てみれば良い。あれが、本来の反応だ」
ニヤリと笑うオルタの流された視線の先を見てみれば、零凛とアーリーさんがハァハァと薄い息をしながら、床に膝をついて今にも倒れそうになっていた。


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