アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

オセロな気分 5

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まったく、この世界の住人はなんだか回りくどくて、私の教えていた悪ガキよりもたちが悪いかもしれない。
人をこんな状況にしておいて、詳しい説明は無く楽しそうなんて、こっちの身にもなって欲しいと、私は溜息混じりにオルタを見つめて言う。
「欠陥を取り除く方法は説明してもらえないのかしら?楽しげなオルタ様」
「フフン、ムッとして、機嫌を損ねておるのだニャ?」
「当たり前でしょ。この状況で機嫌がいい人が居るならあってみたいわ」
「ククク、ソコが問題ニャんじゃよ」
「はぁ?どういうこと?」
「光麗なら、そのように機嫌を損ねたり文句を言ったりしないという事ニャ」
「……はぃ?!」
白と黒の尻尾を左右に振り、にっと歯を見せて笑うオルタの言っている意味が私には良く分らなかった。
「『光麗なら』ってどういうこと?」
「光麗はそのままの状況をそのまま受け入れる。純粋で素直で歪んだ存在なんだニィ」
オルタはそう言って白黒の尻尾の先をそっと私の胸の谷間に突き立て、フワリと黒いオーラを発する。
その瞬間私の体はドクンと何かが起き上がるような感覚に襲われた。しかし、その感覚はすぐに別の何かに押さえつけられ、私は首をかしげたが、オルタはかまうことなく私の胸に更に尻尾を押し付け、体を光らせながら人型へと変化していき、私の体は黒いオーラに包み込まれる。
「光麗とは力の化身その者のことを言う」
「ち、力の、化身?」
「その者は純粋で、無限の力はその者の意思1つで動かす事ができる。それが闇であろうと光であろうと自らが染まると決めた純粋な思いに反応して力は現れるのだ」
私を包み込んだオーラは更にその濃度を増し、目眩さえ覚え始める私の様子を見つめながらオルタは続けた。
「この空間は我のための空間。我は原始の闇と光の管理者」
「げ、原始……」
「この世界が消えうせしとき、再び世界を作るには光と闇が必要。歪みの無い純粋な光と闇により世界は形作られていく。つまり、我自身歪みのない光と闇なのだ」
オルタはそういうと、黒いオーラを止め、今度は白く輝くオーラを私に浴びせる。
「うっ、くぅ!」
オーラの色が変わろうと、何かが変わるわけでもなく、黒いオーラと同様に私の体の中に不思議な感覚を膨らませた。
(何なの?……これ)
「フム、やはりお主は面白い」
「お、面白い?」
「零凛や侘瑠火に接触しておきながらも我の力に眉間に皺を寄せる事も無い。この空間に居て平然と文句を並べる時点で面白いがな」
「眉間に皺?寄せる必要があるの?」
「ククク、苦しくてたまらなくなるのだ。そう、あの時のアーリーや零凛のようにな。もし、この空間にアーリーや零凛が居たとすれば苦しさにのた打ち回っている事だろうな」
オルタの言い分は私をイラつかせるには十分で、プチンと頭の中で何かが切れる音がして、ニッコリ微笑みながらオルタに言う。
「あのね、私はこの世界の人間じゃないの。分る?いい加減その回りくどい言い方やめてくれない?イライラするんですけど!」
微笑みながらもその中身は怒っている私の言葉に一瞬オルタはビックリしたようだったが、すぐにプッと吹き出し、アハハと大きく笑った。


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