アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

オセロな気分 7

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オルタの言う事がいまひとつ理解できず体を安定させる事も出来ないまま考え込んでいるとオルタが近くに寄ってきて私を抱きかかえるようにしてため息を吐く。
「幾らコチラでの生活をしていなかったとはいえ、もう少し理解力があってもいいのではないか?」
少し整った…というか結構なイケメンの少年風に呆れたように言われると何故かムカッとして私は口を尖らせた。
「そうは言いますけどね、非常識なのよこの世界って。第一、これでも教師を目指してるんですから理解力はあるつもりよ。だからこそココまでありえない事だけど現実の事実としてちゃんと受け止めてきたんじゃない」
「なるほど、そういう屁理屈もありだな」
「屁理屈?!」
「そうであろ?何を持って常識とするか、それは人それぞれ。現実と現実として受け止めてきたというのならばこの状況にもなれる事だな」
「フン、それこそ屁理屈だわ」
プイッと顔をオルタから背ければ、オルタは私のその態度が楽しいのかクククと堪え笑いをして私を覗き込んでくる。
その態度がまた私の気持ちを逆撫でて私はさらに機嫌悪くキッとオルタをにらみつけた。
「フフン、我にそのような態度を取るのはお前だけだな」
「それはそれは、皆さん忍耐強いこと」
「そういうことを言うのもお前だけだ。久しぶりに中々楽しいぞ」
「……私は全然楽しくない」
「ククク、それはそうだろうな。ふむ、ではこの空間で自由に動けるようにしてやろう」
「え?マジで?ってか、そういうこと出来るんだったらサッサとやってよ」
じっとりとした視線を向けた私にニヤリと笑うオルタ。
何だかちょっと嫌な感じがした私は「やっぱりいい」と断ろうとしたが、その言葉を出さないうちに私の唇はオルタによってふさがれる。
「ンんっ?!」
逃げようとする私だったが、私の体にオルタの長い尻尾が絡みつき、さらに頭は手で固定されてしまって逃げるに逃げれない状況。
(な、何なのよ!)
自分の勝手にならない状態に少々ムッとして見つめてくるオルタの瞳がウザったいと瞼を閉じる。
視界をなくしたことで唇の感覚がよりいっそう手に取るように分かり、押し付けられる唇はアーリーさんの唇とは違いとても熱く良く揺れ動いて、私はその慣れたような滑らかなキスに少しだけ心臓がドキドキしているのを感じていた。
意外に長く唇の上に滞在する存在に多少怒りや焦りが少なくなってきた時、唇から流れてくる力に気づく。
唇から侵入した力は渇いた喉を潤わしていくように体に波紋を描いて広がっていった。
指の先まで力が行き渡った瞬間、私をしっかりと締め付けていたオルタの尻尾がスルンと緩む。
突然支えが無くなってふらついた私はまだ体が引っ付いているオルタの体に腕を回してしがみつき、オルタも柔らかく私を抱きしめた。
(あれ?何だか体が普通に立ってるような気がする)
オルタに支えられているとはいえ、その力は殆ど感じられないくらいなのに、先ほどとは違ってそこに床があるように私は立っている。
(もしかしてさっきの流れ込んできた力のおかげ?)
そう思ったが、力が流れ込まなくなっても未だ私の唇の上にオルタの存在があって、いつになったら解放されるのだろうと私はゆっくり瞼を開けた。



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