アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

オセロな気分 9

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オルタの白い肌理の細かい頬が見え、瞼が全て開いたとき、私の瞳に突き刺さるような熱っぽいオルタの視線がそこにある。
(え?あ、何?)
恋愛偏差値の低い私はその視線に耐え切る事はできず、スイッと視線だけを動かして、なんでもない風を装った。
焦りを隠すように自然に視線を動かしたつもりの私の内心はどうすればいいのかと大変。
心臓がドキドキと本当に口から飛び出してきそうで、その音がオルタに聞こえてしまうんじゃないっていう位の状態で、自分の鼻息が荒くなってくる事にすら気がついていなかった。
頭の中でどうやってオルタから離れようかと考える。
しかし、パニック状態の脳みそは更にパニックになって考えを混ぜ繰り返すだけ。
(もう!こういう時って皆どうしてるのかしら?)
22歳にもなって、こんな状況に大人な対応が出来ず、焦るだけ焦った私の気持ちを知ってか知らずか、オルタの唇がゆっくり離れていった。
(た、助かった〜)
一瞬ホッとしかけたが、悟られてはいけないと吐き出しそうになった息を飲み込み、まだ数センチ先にあるオルタの顔をクッと睨む。
少し位驚くか体を引くかするかと思ったのに、オルタはニヤリと口の端をあげて偉そうに笑って私の視線をしっかり見つめ返した。
「な、何よ」
「ん?別に」
私の問いかけにただ、ニヤニヤするだけのオルタに少々馬鹿にされているような気がして、見た目が少年なだけにそういう態度を取られるとムカッとくる。
フフンと優位に立っているような微笑を崩してやろうとオルタの両頬をギュッと抓る様に握って左右に開いた。
「ぐわ!ひててて!(うわ!痛ててて!)」
「生意気なクソガキ」
じっとりとした視線と呟きにオルタは慌てて私の両手首に尻尾を巻きつけて私の手を頬から切り離す。
「凛!クソガキとは何じゃ!お前より我はずっと長く生きて居るのだぞ!」
「分かってるわよ、それくらい」
「なんだ、見た目がガキな我に弄ばれている様で拗ねてるのか?それとも照れ隠しか?」
両頬を手で押さえながらニヤつくオルタはどうやら全てお見通しの様子。
ムッと口を尖らせては見たけれど、オルタの視線を感じると心臓は私のいう事をきかなくなり、顔はどんどん熱くなる。
明らかに頬の熱さは色となってオルタに見えているだろうと意識すれば私の状態はもっと大変な事になっていった。
何だか分からないけれど沈黙が続くほどに鼻の中がツンとして、その刺激は目に伝わり涙が出てきそうになり慌てて両手で顔を覆う。
「こういうのに慣れていれば大人と言うわけでもない。逆にその初々しさが良かったりもするぞ?」
瞼を閉じて目に涙を抑えるように命令していた私の耳に少し優しい息遣いで笑って言うオルタの声が聞こえた。
でも、そんな事を言われたからって動揺が収まるはずも無く、相変わらず私は顔を隠したままオルタにばれないように深呼吸をする。
「う、うるさい!べ、別に気にしてないもん」
「ほぉ〜そうかな?ま、気にしてなくても気にする必要はないぞ」
「そんな事言ってるけど本当は22歳にもなってキス如きでこんなになるって馬鹿にしてんでしょ」
「馬鹿に?馬鹿にはしてないぞ」
「嘘つき。そりゃ、言葉で馬鹿にはされてないけど、ニヤニヤしてさ、態度が馬鹿にしてるじゃない」
「いやいや、どちらかといえば初々しさに嬉しくなったというほうが正しいぞ」
「あ?何よそれ…」
悪態をついたおかげで少し落ち着いてきた私はゆっくり顔を覆っていた手を離し、オルタの言葉に首をかしげた。



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