アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

オセロな気分 12

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「ちょうどいい機会だ、感情を操作することを覚えろ」
訳のわからないことばかりで苛々が溜まっていたけれど、命令口調のオルタにムッとするのもいい加減疲れてくる。
幾ら私がむっとしたところでオルタの偉そうな態度は変わらない。
だったら、気分を切り替えた方がきっと賢いだろう。
両親を早くに亡くした私は、苛め等の嫌がらせの対象となってきた。
無視なんて可愛いと思えるような日常を送って来た私にとって、感情をコントロールしなければならない場面が多い。
感情のコントロールはとっくに覚えたと思っていたことだけれど、目が回るほどにくるくる回ってしまうなんて、私もまだまだのようだ。
空中にくの字に浮いて足首を掴んでいるオルタを見つめ、大きい深呼吸を一つ。
この空間にやってきてからオルタの瞳はずっと、私を品定めするような視線。
何故か私はそういう視線にむきになってしまう。プレッシャーを感じることはなく、ただ、挑戦的になるのだ。感情のコントロールが乱れてしまったのも多分そのせい。
良く考えてみれば、イラつけばこちらの負けというのは今までも、そして教育実習でも学んだことだった。
変わらない出来事に腹を立てて怒りをこめたからといって、その状況が変わるわけでもない。
どうにもならず、湧き上がってきた怒りをおさめるのは諦めや蔑みの感情。
所詮は馬鹿のたわごとと思ってやり過ごすのが一番だが、今回はちょっと今までと状況が違いすぎるから、すぐに収めることも出来ず、深呼吸を何開花することになった。
深呼吸をするほどに少しずつ体も安定し始めたが、冷静になりつつあるのに体の回りの空気は微妙に揺らぐ。
乱れた感情を押さえつけるように、私はさらに冷静に、頭を沈静化しようとした。しかし、そんな私の様子を見ていたオルタが掴んでいた私の足首から手をはなして言う。
「操作しろとは言ったが、押さえ込めとは言っていない」
「え?」
オルタの言葉は意外で、驚き瞳をまん丸にしてオルタを見れば、視界はくるりと回ってオルタの足が目に飛び込んできた。
この空間には上下左右、天地はない。なのに、体が逆さだと私が認識すれば一気にスカートが下へと垂れ、私は慌ててスカートを押さえ込む。
オルタの目の前には無防備な私の生足が晒され、口の端に笑みを浮かべるオルタの顔をにらみつけた。
「スケベ少年。見とれるのも分かるけど、何とかしてよ」
「そうだな、程よく肉のついた中々そそる足だが、別に我が何とかしなくても自分で何とかなることだ」
「え?もしかしてオルタって馬鹿なの?何とか出来るならとっくに何とかしてるわ。戻りたくても戻れないのよ。この空間に慣れてないんだから少し位補助してもいいんじゃない?」
「補助して欲しい相手に馬鹿とはな。まぁ、良い。お前のその性格も慣れてきたのか小気味良い」
「いやいや、そうじゃなくって。助けろって言ってるんだけど」
「それでは一つ助言してやろう。お前の体が安定しないのも、そのように足を放り出してしまうのも、全ての原因はお前の感情」
「ハァ?あのぉ〜オルタ様、私はとっても馬鹿なので、もう少し分かりやすく説明していただけますかねぇ」
「そういうクソ憎たらしい言い方は嫌いじゃないぞ」
クククと楽しげに微笑んだオルタは、未だに私の足を眺めてくるので、後ろにまげてスカートが下がるのを食い止めていた足を大きく蹴り上げる。
しかし、オルタは大きくよけることをせず、少し体を動かし、私はただ、スカートをもっと垂れ下げさせることになった。



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