Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

HARU 6

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ハルはクンクンと鼻を動かして臭いを嗅ぐ。
(ハルピュイアの種族って所か。見てくれは多少良くなっても、このクッサイ臭いはどうしようもないらしい)
クククと笑ったハルの気配を察した女がキッと天井を睨みつけたが、既にそこにハルの姿は無い。
「誰?!誰かいるの?」
女が慌ててベッドのカーテンを開いて出て来れば、保健室の丸椅子に腰掛けたハルがフフンと楽しそうに笑い、片手を上げた。
「よぉ、ふ〜ん、意外にスタイル良いじゃん。オバサン」
「オ、オバサンですって?!私を誰だと!」
「ハルピュイアと言いたいところだけど、体が人型をとってるからハルピュイアの種族ってところ?若い男の生気を頂いて若さを保ってるって感じ?で、お食事タイムは終った?」
「お前、一体何者?」
「……アンタ、結構面倒臭い。私を誰だと問いかけておきながら、その答えを言わずに今度はお前は誰だと言う。どっちかにしてくんない?」
ハァと溜息混じりに顔をしかめて言うハルに女は瞳を見開く。
見開いた瞳はまるで鷹が獲物を狙うように鋭く光り、女の体からは金色に輝くオーラが立ち上った。
「そんなに知りたければ教えてあげるわ」
「……ってか、アンタが言いたかったんだろ?私は聞いてないっつぅの」
「煩い!私はハルピュイアの種族、天使との交わりを持つ血族。リラ」
「ふ〜ん、天使とね、じゃぁ、聖の属性ってわけだ」
「私は名乗ったわ!お前は一体誰なの?!この部屋には誰一人入ってこれないはずよ、人はおろか、聖も魔も!」
「そう?普通に入ってこれたけど」
「そ、そんなはずは。だって!」
「鍵をかけたし、結界も張ったのに。って?」
クスクスと楽しそうに言うハルにリラは驚きの視線を向けていたが、自分に好意的な存在ではないとわかり、ゆっくりと体制を整える。
「本当に、お前、誰なの?」
リラは静かに言いながら、背中の翼を徐々に開き、その翼が銀色に輝き始めて、ハルは黙示録をゆっくり自分の目の前に横一文字に構えて答えた。
「私の名前はハル」
「ハル?知らない名だわ」
「だろうね。でも、この子の名前は知ってるかもよ?この子、黙示録って言うんだ」
「っ!!黙示録?!じゃぁ、お前がメギドの……」
ハルの刀の名を聞いてリラの気配はざわつき、金色のオーラはその量を増す。
「臨戦態勢?」
リラの様子を見てニッコリ微笑んでそう呟いたハルに向かって、リラの銀色に輝いていた4枚の翼がバサリと羽ばたかれ、翼からは鋭い羽が飛び出し、ハルを襲った。




 
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