Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

HARU 7

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降り注ぐ銀色の羽。
ハルは避ける素振りを見せず、向かってくる銀の羽を見つめる。
(ククク、たいした事無いではないか。黙示録を携えたメギドの管理者が目覚めさせられたと聞き、十分に注意するようにとあの方から聞いていたが、私の羽に一歩も動けないとは、はやり小娘は小娘)
このままハルを殺せるとニヤリと笑ったリラだったが、銀の羽がハルに届くその直前、横一文字に構えていた黙示録が一気に燃え上がるように蒼い炎を上げ、降り注いだ銀の羽をすべて燃やし尽くしてしまった。
「なっ!わ、私の銀の羽が……」
「クスクス、殺せると思った?こんなつまんないオモチャで」
体の回りを大きな黙示録の炎で包み込んで立ち上がったハルはチラリと床でブスブスと黒く燃えカスになっていく羽を見つめて言い、そのまま視線をリラに向け、ニッコリ微笑んだ。
「つまらないオモチャだと?私の羽は鉄の硬さと毒が……」
「鉄の硬さぁ?毒ぅ〜?んなもん、当たんなきゃ意味ないっての。全く、なめられたもんだ、私も。そして、黙示録の力も」
「クッ!」
横に構えていた黙示録をゆっくり下ろしたハルを見て、グッと構えたリラ。
しかし、ハルはリラに黙示録を突きつける事無く、体を覆っていた炎も小さく収束させ、黙示録は鞘に納められ、ハルの背中という定位置へと携えられる。
「何?」
不審なハルの行為にリラは余計に身構えた。
警戒態勢のリラを横目にハルはツカツカと保険医の机の方へと歩いていく。
保険医の机のある周りには薬はもちろんたくさんあったが、ハルは薬の置いてある棚は完全無視。
「何なのよ!」
黙ってニヤニヤと自分を横目で見つめて動くハルにリラはイライラと叫び、その声にハルはリラが小物であると確信し、更に悪態をつく。
「キャンキャン煩いオバサン」
「なんですって?!」
「ヒステリックババァ」
クスクスと楽しげに悪態つくハルに、リラは苛立ちと言うよりも怒りが込み上げていた。
「銀の羽だけが私の武器では無い!」
「うん、そうでなきゃね。でも、ヒステリーなオバサンを相手にするのに黙示録を使う必要は無いでしょ……ん〜と、ドレにしようかな〜」
黙示録を使う必要は無いと自分を見ることなく言われ、無防備な姿のまま何かを探しているハルにリラは金色のオーラを燃え上がらせ、瞳を赤くたぎらせる。
しかし、そんなリラの様子を分っていながらもハルは保険医の何冊も並ぶ本をみて、その中から、一冊を取り出し、クルリと体をリラの方に向けた。
微笑みながら手にした本をリラに向かって差し出したハルに、リラは怒りの雰囲気はそのままに、首をかしげる。
「……本?本等どうしようと?」
ポツリと呟いたリラの言葉にそれまで楽しげだったハルの表情が一気につまらなさそうな表情へ変わり、本を持った腕はパタリと下げられた。




 
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