Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

HARU 11

イメージ



ベッドの方へと向かったサイはベッドのカーテンをすべて開いて中に横たわる生徒を見る。
「ダース。どう思いますか?」
サイがダースに聞くと、ダースは少々ため息混じりに横たわる3人の男子生徒を見て答えた。
「意地汚いというかなんというか……だからハルピュイア系は嫌いなんだ」
「全くの同意見ですね。汚らしい感が否めません」
「はじめの1体はもうダメだな。人にも戻れなければ、聖魔に落ちることも出来ない。2体目は本人次第と言うところか。3体目はサイ次第」
「なるほど。なかなか的確な見解ですね」
「ま、一応上級魔族だからな」
サイは3人目の男子生徒のところに行き、そっと男子生徒の額に手をかざして紫色の光を男子生徒に向けて放つ。
「なんだ、助けてやることにしたのか?」
「ハルピュイアの食べ残しなどいりませんからね。それに私達はハルと血の契約を結んでますから人を食らう必要も無いですし」
「そりゃそうか。じゃぁ、後は」
ダースはあとの2人が横たわっているベッドの間に立って、腕組みをして考え込んだ。
「2体目は本人の思い次第で人に戻るか、聖魔に落ちるかどちらかが決まる。だが、この1体目をどうするか。どちらにも生きることは出来ないがこのまま放置すれば……」
「虚骸(うつむくろ)と成り果てるでしょうね」
「はぁ、やっぱりか。面倒なんだよな〜虚骸の連中って。何にもない奴だから何にも考えてないしさ。変化する前にひとつ残らず滅しちまうか」
「それはそれで面倒なんですけどね」
3人目の男子生徒を紫のオーラで覆ったサイはフゥと一息ついて、ダースのほうを見て言う。
「人間1人消えたというだけで大騒ぎになりますからね。消すなら消すで記憶の操作をしないとダメなんですよ」
「マジ?面倒臭ぇな〜。神隠しみたいな感じで終わらねぇの?」
「いつの時代の話をしてるんです。今はね、そんな迷信めいたことで終わるようなことは無いんですよ」
「チェ、しようがないな〜んじゃ、ハルが一段落つくまで、とりあえず使い魔入れておくか」
ため息混じりにダースはフッと空中に息を吐き、出てきた息は小さなコウモリの様な姿に変わり、ダースが指差すと1人目の男子生徒の口の中へと入っていった。
男子生徒の口の中に入った使い魔はその姿を再び空気に変えて、喉の奥へと入り込み、男子生徒の体がドクンと大きく跳ね上がれば、土色をしていた男子生徒の顔は徐々にその色を肌色へと戻す。
「全く。一時的だがこれで良いだろう?」
「上々。さすがですね」
「あんがとよ。こんな初歩術で褒められても全然嬉しくないけどな」
じっとりとした視線でサイを見つめたダースだったが、悪魔のように満面の笑みを浮かべたサイにハァとため息をついた。



 
イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

応援ヨロシクです♪イメージ
inserted by FC2 system