Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

HARU 12

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2人がリラの後始末をしている頃、じりじりとリラの攻撃を防ぎながら後ずさっていくハルにリラが勝ち誇ったようにアハハと笑いながら言う。
「偉そうにいいながら防戦一方ではないか!」
「防戦、ね」
クスッとリラの言葉に口の端に微笑を浮かべたハルはそのままリラの休み無く続く攻撃を防ぎ、攻撃はしない。
「ひとつ聞きたいんだが、お前に私のことを教えたのは誰だ?」
「フッ、言うと思ってるのか?」
「ま、言わないだろうね。頭の悪いやつは特に」
「貴様、また私を侮辱するのか!」
「頭の良い奴はさっさと言っちゃうもんなんだよ。力の差を知ったときにね」
「力?防ぐことしか出来てないお前が何を言う」
攻撃のスピードを上げて襲い掛かるリラに、防ぐだけで後ずさっていたハルは、ピタリとその動きを止め、サーベルに力をこめた。
サーベルから放たれた白い光は瞬く間にハルを包み込み、バリアのようにリラの攻撃を防ぐ。
「クッ、これは」
「防いで見ました〜って感じ?」
クスクスと笑って言うハルにリラは攻撃をやめてフワリとハルから距離をとった。
ハルの笑顔に初めてゾクリとした寒気を感じ、嫌な空気が周りを囲み、リラは眉間に皺を寄せる。
(……なんだ?この感情は?)
自分の中にモヤモヤとした重たいようなそんな存在が生まれリラは戸惑いの表情を見せた。
「得体の知れない物が湧き上がってきているんだろ?」
「なに?!」
「『どうしてわかるんだ?』って思ってるんだろ?ククク、顔がゆがみ、そして影が現れる。瞳には怯えが見えて、その焦点はユラユラとゆれ動く……」
呟きながらハルは一歩ずつリラに近づき、体をのけぞらせるようにハルの瞳から逃れようとリラが翼をはためかせたとき、ハルの周りにあった白い光がすばやく伸び、先を尖らせリラの翼の根元に突き刺さる。
「ぎゃぁぁぁ!!」
大きなリラの叫び声にニッコリ微笑んだハルは突き刺した光をゆっくり動かしながらリラの翼をその体から引き裂いた。
地面に鈍い音を立てて落ちた4つの翼の中心に翼を失ったリラが膝をつく。
両手を地面につけ、床に向けたリラの視線にハルの足元が映りこんだ。
「こういうジワジワしたのも悪くないね。死が確実に近づいてくる感覚はどんな感じ?」
「き、貴様……」
「胸の中に重いものが広がってるだろう?それをなんていうか知ってる?恐怖って言うんだよ」
リラを見下ろし、楽しげに言うハルの笑い声にリラはビクリと体を揺らしたが、すぐにその顔を上げた。



 
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