Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

HARU 13

イメージ


キッと鋭い瞳をハルに向けてリラがうめき声混じりに叫ぶ。
「貴様、それでもメギドの管理人か?!」
リラの声に片眉をあげたハルはゆっくりサーベルを掲げた。
「そうだけど。不満?」
「力の差があるとわかっていながらいたぶり、恐怖を与えることがメギドの……ギャッ!」
ハルの行為をリラが問おうと言葉をつなぎ始めた瞬間、翼を落とした白い刃がリラの床に置かれた両手の中央に突き立てられ、リラは悲鳴を上げて苦痛に顔をゆがめる。
「いたぶり?これのどこがいたぶりだというんだ?」
「くっ、い、いたぶり以外の何だと。ぐぅっ」
「当然の報い」
「なっ?!」
目を見開き、苦痛の中、驚きの表情を見せるリラにハルの冷たい視線はそらされること無かった。
「人とは違い、特殊な存在であるお前達にしてみれば人とは馬鹿で下等な存在だ。餌としてみる方が多いだろう。それでも、必要以上に獲ることは無い。だが、お前は必要の無い狩りをした。力の差があるとわかっていながら……」
ハルは目の前で自分を見つめるリラの頭をガシリと掴んで持ち上げ、伏せていたリラの上半身が持ち上がると、その胸にサーベルの先をピタリとつける。
「ヒィ、も、もうしない。あの方のことも話す!だから……」
「だから許してくれ?それって聞けない相談だね」
「な、なぜ?!」
「何故ぇ〜?いい加減にしてくれよ、頭悪いな〜。お前、人間が許してくれっていっても許さなかっただろ?なのに、どうして私がお前を許す必要がある?」
「そんな!」
「それにね、さっきも言ったけど、お前から仕入れる情報ってたいしたこと無いだろうから要らない」
微笑むハルの瞳の中にとても冷酷な輝きを見たリラの心の中にあった恐怖は遠のき、瞳からは涙を一筋流した。
(なるほど、これが裁定者なのか。反論するなど無駄、すべては己の行ってきた行為のもとに下された判断)
自分の死は決まったことなのだと覚悟をしたリラはゆっくり瞳を閉じ呟く。
「滅した私は何処に行く?」
「彷徨いはしない。私の手にかかったものは全て、転生の輪から解き放たれメギドの地の礎となる」
「選択肢の無い救いだな。ぐぁ!」
ハルは白い光をサーベルに戻して、リラの胸にゆっくりとサーベルを突き刺し、リラは喉をのけぞらせてその痛みに身をゆだねた。
(熱い、胸が焼ける……)
胸元から広がる熱さに体が溶かされていくような感覚に襲われたリラ。
だが、その熱さが全身に広がったとき、胸元に感じていた痛みは消え、瞼を開けたリラは口元に微笑を携えハルに言う。
「あの方は、この学園にいる。気をつけることだ、あの方は人に化けるのが上手い……臭いで追うのは無理だぞ」
「ふぅ〜ん、ってことは憑依型ってことか」
「さぁな、その辺は私にはわからない。だが、あの方はお前を探している……」
「敵を探しているってのか?」
「理由は知らない」
「なんだ、やっぱり、下っ端の情報はたいしたこと無いな」
グイッとサーベルを奥深く突き刺せば、リラは背中をそらせ、暫し小さく痙攣したあと、ガクリと体を揺らし、その体は解けるように地面に落ち集まって、小さな雫型の深い黄金色の結晶となった。



 
イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

応援ヨロシクです♪イメージ
inserted by FC2 system