Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

MINOU 3

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何者かわからない巳能生と対面したまま時間が過ぎる。
ハルに攻撃を仕掛けてくるわけでもなく、拘束することもなく、ただ、目の前に座り、他愛ない話をしてくる巳能生の意図がわからずハルは様子を見るようにその話をただ聞いていたが、何が起こるかわからないと警戒は解かずにいた。
カタリと巳能生が立ち上がり、微笑を浮かべてドアまで歩いていく。
「どうしたの?全然喋らなくなったね」
ハルに語りかける巳能生にハルは返事をせず、ただ瞳を向けた。
「クス、綺麗な瞳。嫌いじゃないよ、その瞳で見つめられるのも」
ドアに背をつけ、クスクスと笑う巳能生。
(こいつ、私の力を侮っている馬鹿か、それとも?)
巳能生の様子を伺うハルに巳能生はペラペラと自分が従える聖魔の連中の話や、ハルの狩りの様子を語り始める。
その話を聞きながら、ハルは今までの下っ端の大したことのない連中は巳能生が差し向けていたことを知り、さらに、巳能生はそそのかすだけそそのかし、ハルの力を図るため、下っ端を利用していたのだとわかった。
口軽く、お喋りをする巳能生の話をハルがさえぎる。
「お前に傾倒した奴等は自業自得とは言え、かわいそうに」
『かわいそう』といったハルの言葉にくすくすと笑い、話していた巳能生はその笑いをとめてハルの横顔に視線をやった。
「かわいそう?フフッ、面白い事を言う。彼らは自分でそうしたいから貴女に狩られただけ。かわいそうなどと言う言葉は合わないですね」
「そう、自業自得。だが、そうさせるように持っていったのは貴様だ。貴様に会わなけりゃもしかしたら滅せられることも無かったかもしれない」
「ふむ、ま、そういう考え方もできますね」
顎に手を当て、なるほどといった表情を浮かべる巳能生に椅子から立ち上がったハルは黙示録を引き抜き切先をのど元へと向ける。
「貴様の自慢話も、説教も聞く気はない。そして、戯言も聞こうとはおもわない。だが、質問はひとつある。お前はいったい何者だ?」
「黙って話を聞いていたのはそれを探りたかったのかな?」
「当然だろう。目的も無しにつまらない話を聞くほど馬鹿ではない」
「でも、わからなかったのかな?勉強しないからそうなるんだ」
「うるさい!答えろ!答えないのであればこのまま狩る!」
睨み付けてくるハルに、やれやれと肩をすくめた巳能生だったが、黙示録にそっと指をそえ、下へと力をいれた。
「な…何?!」
黙示録を握るハルの意識とはまったく逆に黙示録はゆっくりとその刃を下げ、巳能生は微笑む。
「残念だね。その黙示録では僕を滅する事はできないよ」
「っ!!」
青く揺らめくオーラを放つ黙示録をいとも簡単に手を添えて下ろす巳能生に驚き、ハルは地面をけって後ろに飛び下がり、距離をとって向かい合った。
聖魔であればオーラを放つ黙示録をつかむことなどできず、つかんだりすればその青い炎に体に痛みが走り、のた打ち回るはず。
「黙示録に手を触れてなんとも無いだなんて……貴様、本当に何者?」
ハルの方に体を向けたまま、巳能生は後ろ手に部屋の鍵をかけ、じっとりとした瞳をむけてニヤリと笑った唇をペロリと舌なめずりをした。



 
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