Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

MINOU 4

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ハルが巳能生と対している時、学園の屋上にダースとサイがいた。
空間移動の扉をハルのいる場所へと開いたはずなのに、2人は何故か屋上にいて、サイの顔は曇る。
「空間が歪んでいる」
ポツリとつぶやいたサイの言葉にダースはフーと空中に息を吐き出し、小さな蝙蝠を作り出し空へと放った。
「結界だな。しかし、こんな結界は初めてだぞ?ハルが相手にしているのは誰だ?」
「わからない」
「だよな。聖でも魔でもこんな結界は張らねぇ。異質な結界だ」
「ハルが接触したのは夕方でした。日がまだ落ちていない夕方、普通に考えれば聖の属性の者かと考えますが……」
「日が落ちても力がそう変わらないってことは、魔のような雰囲気だがな……。それも違うような気がしねぇか?」
「そうですね。リラのように聖魔の交わりのあると言う感じでもありません。一体これは?」
「おっ……捕まえたぞ」
サイの眉間の皺がより深くなった時、ダースがそういってジッと空中に瞳を凝らす。
ちょうどハルのいる教室の窓を使い魔が探し出し、外で羽ばたいて中の様子をダースに送信していた。
「捕まえたって、ハルをですか?」
「あぁ、一階の一番端の部屋だ」
「様子は?」
「ぅんと、部屋の中に結界を張っているのか中の空気が揺らめいててよくわからねぇ。でもどうやらハルは黙示録を引き抜いてて、相手と向き合ってる感じだ」
「相手の顔は?」
「見えねぇな。にしても、この威圧感は異様だぜ」
クッと顔をゆがませて、微笑を浮かべたダースの体には使い魔を通して巳能生の異様な気配が伝わっていた。
今まで感じたことのない気配はジットリと粘つくような嫌な感じをうけ、純粋な聖魔のオーラは全く感じられない。
(だが、この感じ。どこかで経験したことのある感じがするな…何処だったか?)
空中に瞳を凝らして考え込んだダースの横で、サイは胸のポケットから小さな小瓶を取り出し、小瓶を空けて中身を手のひらに出した。
サイの手でキラキラと光る砂にサイが息をかければ、砂は空中に舞い、地面についた時には砂の一粒一粒が小さな蜘蛛となる。
「ゲッ!サイ、お前の使い魔は蜘蛛かよ。気持ちわりぃ」
妙な小さな気配を感じたダースが振り返り、わらわらと地面に広がっていく黒い小さな蜘蛛に顔をゆがめる。
そんなダースの様子に、サイはあきれたような視線をダースにむけた。
「使い魔じゃないって事ぐらいわかりませんか?この光の粒は自分の思い通りの物を形作る魔力の結晶。この状況ではどんな所にももぐりこめる蜘蛛が一番適任でしょう」
「別に蜘蛛じゃなくても良いんじゃねぇの?俺嫌いなんだよな〜そういう昆虫、爬虫類系。何でもかんでもそうやって平気で作っちまうのが聖の属性の怖さだよな〜」
「魔の属性が好き嫌いをし過ぎるんですよ。同じく生きているものという観念はないんですか?」
「あるわけないだろ。奴等は虫、俺は俺」
嫌そうに眉間に皺を寄せて蜘蛛を指差し言うダースに、やれやれとサイは、ちらりと目配せをして蜘蛛達を校舎へと放した。




 
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