Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

MINOU 6

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「な?!なんだ!これは!!」
教室のドアを開いたハルはその場で叫び、その叫びにすでに姿の見えない巳能生の声が廊下に響く。
「彼女達が貴女のお相手をします。十分お楽しみください」
クスクスと笑う巳能生の声の中にいるのは、ハルのクラスの女子が3人。
ただ、その姿は昼間の彼女達とはまるで違い、真っ青な顔に生気は無く、うつろな瞳がハルに向けられていた。
「クソ、あの野郎。面倒なことを……」
黙示録を構え、うつろな彼女達と対面していたハルの後ろにある教室の中が輝きドアが開く。
「ハル!」
「遅いぞ、サイ」
「すみません。空間がゆがめられて予想もしない場所にたどり着いたものですから」
「なるほど、ご丁寧に結界まで張っていたのか」
チッと舌打ちするハルにサイに続いて現れたダースが放っていた使い魔を口から吸い込んで続けた。
「空間をゆがませただけじゃないぜ。この部屋の様子すら覗けないようにしてたんだ。サイの蜘蛛だけで何とか情報を仕入れたって感じだったんだからな」
「相当な力の持ち主です。なのに、何故感じ取れないのでしょう?」
「それより、こっちだ」
ハルは自分の後ろにいる2人に顎で合図し、2人はちらりと視線を流して、ゾンビのようにたたずむ3人の生気のない彼女達をみてダースがつぶやく。
「こりゃ、虜にされたのか。厄介だな」
「糧とは違い、虜にされた者はその者に傾倒しますからね」
「悪でも聖でもない普通の人であるから黙示録も役に立たない」
「厄介なのはそれだけじゃない、虜にされた者を元に戻す方法は3つ。その者以上に虜にして開放するか、虜にした奴に開放させる、そして、虜にした奴を滅する。ま、手っ取り早いのは滅する方法だろ?さっさとやっちまったらどうだ?」
「それができれば苦労しない」
「はぁ?なんだよ、それどういうことだ?ハル」
ダースがきょとんとして聞いた言葉にハルは顔をしかめて答えることなく黙示録を鞘にしまってサイを見た。
「とりあえず退く。館に帰るぞ」
「ハル、この者達をこのままにするつもりですか?いくら虜にされていて糧ではないとはいえ、この様子だとかなり……」
「煩いな!退くって行ったら退くんだ!」
サイの言葉をさえぎるように怒鳴ったハルの様子に2人は顔を見合わせる。
何かあるとは感じたが、サイとダースだけで何かをできるわけでもないため、ハルの言う通りサイが扉を開いて、青白いゾンビのような女子生徒達をそのままに、3人はその場を去っていった。



 
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