Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

MOKUSHIROKU 1

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それから3日が過ぎ、さらに3日が過ぎて、ダースはイライラとした口調でサイに言う。
「おぃ、一体どうなってるって言うんだ?」
「……私に言われてもわかるわけが無いでしょう。そういうことは直接ハルに聞いてください」
「そりゃできりゃしてるけどよ」
ハァとダースはため息をつき、それにつられるようにサイもため息をついた。
この6日間、ダースもサイも同じ問答を繰り返し、ため息をつく日々を送っていたのだ。
学園から逃げる様に帰ってきたハルはそのまま自室にダースやサイが入れない結界を施して篭り、部屋の外から声をかけても返事をすることない。
どうしてこう塞ぎ込んでいるのか?その原因のわからないダースとサイは事の成り行きを見守ることしかできずにいた。
腕を組み、窓からバルコニーにでたダースは、バルコニーの手すりに背中を持たれかけさせて、視線をハルのいる部屋の窓に向けて言う。
「もう一週間になろうかっていうのに、こんなこと。今まであったのか?」
サイは部屋の中で椅子に腰掛け、紅茶を口に含んで、ホゥと一息入れ、視線をダースに向けた。
「ありませんよ。いつでもどんな時でもハルは小生意気なハルでしたからね」
「ふ〜ん、女の子の日ってわけじゃないんだろ?」
「下品な会話は嫌いです」
ククッと少しふざけた調子で言うダースに低い声でサイが言えば、ダースはやれやれと手すりから背中を離して部屋の中に入る。
「ちょっとした冗談だよ。ハルは人間じゃないんだ、そんな現象がないことぐらい知ってるさ。俺たち魔は冷酷クールな聖の連中とは違ってこういうのは嫌いなんだよ」
「ふぅ、だからといって茶化すのは利口とは思えませんね」
「悪かったよ。しかし、小生意気だったハルがあんなに閉じ篭るってことは、やっぱりあれか?」
「それしか考えられないでしょう。あの一件から塞ぎ込んだんですから」
眉間に皺を寄せて言うサイの座る椅子の背もたれをはさんで、サイと背中合わせに立つダースも真剣な顔をした。
「相手はわからなかったんだろ?」
「蜘蛛に視界をつけなかったのは間違いでしたね。会話を聞くことはできましたが、名乗って話してなかったのでどこの誰だかさっぱりですし」
「……使えねぇな」
「貴方の使い魔も使い物になってなかったでしょうに」
「うっ……」
「ただ、あの気配、あれは聖でも魔でもありませんでした」
考え込んだように言うサイの言葉にダースが驚き振り返ってサイの肩を掴む。
「ちょ、ちょっと待て、サイも見ただろう?虜にされた人間を。あれは魔の仕業だ。聖の気配で無い事は理解できても魔でもないとは理解できないぞ!」
「だから、悩んでるんですよ。何があったのかわからない、一番状況を知っているだろうハルは閉じ篭りっきりで。どうしたもんでしょうね」
「かといって、あの結界をどうにかできるもんでもないし……ハル次第か」
2人は再びフゥと大きなため息をついてうなだれた。



 
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