Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

MOKUSHIROKU 4

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「全く、過保護なんだよ、サイは」
サイの様子にポツリとダースが呟いたがサイは聞こえない振りをしてハルに言う。
「すぐに参りましょう」
「行くって、どこへ?」
「そうだよ、どこに行くんだ?」
サイの言葉に首をかしげるハルとダースは同時にサイに聞き、サイはハルだけを見た。
「聖魔の長たる神と魔王のもとへ」
「奴らに聞けば何か分かるというのか?」
「少なくとも、私や生まれたばかりのハルよりも知っていることはあるかと思いますよ」
「ま、何千年と生きている、あの年寄り連中なら何か知ってるだろうな」
「年寄りなんていったら滅せられますよ。年齢より若く見えるっていうのがあの方たちの自慢なんですから」
「若いって…見た目が変わらんねぇように自分で見た目を操作してるだけなのによく言うぜ」
「とにかく、行きますよ」
フンと鼻で笑って言うダースにサイは一瞬視線を流したが、すぐにハルの手をとり、異空間の扉を開いて、開いた扉の中へ入っていき、あわててその後をダースが追った。
異空間を抜ければ、広い何も無い空間にたどり着く。
上も下も無く、1つの空間である事を忘れてしまいそうになるほどに広いその空間に入ってしばらく、ダースとサイがその場に跪いた。
跪きたくて跪いたわけではなく、そこに現れた圧倒的な気配に押しつぶされるように体を追ったのだ。
(くっ、これだからココにくるのは苦手なんだ)
「ククク、まぁ、そういうな」
ダースが心の中でそう思った言葉に返事をして現れたのは魔の世界を統べし王。
長く尖った耳のちょうど上あたりに立派な巻き角を持ち、紅く光る瞳は血の様。
同じくしてその魔王の横に現れたのは神々しい光を放つ穏やかな聖の世界を統べる神。
「お久しぶりでございます」
「うむ、久しいなサイ。ハル様の補佐、ご苦労です。ハル様もお久しゅうございます」
神と魔王はハルの目の前で膝を折り深々と頭を下げて共にハルの手をとった。
「我らのもとへハル様が訪れるとは何かございましたか?」
「うん……あの……」
「得体の知れない野郎が現れて、黙示録が沈黙しちまったんだとよ」
言いにくそうにモジモジしているハルの代わりにダースが口を出せば、魔王がちらりと視線をダースに向けてハァとため息をつく。
「ダース、お前がハルの元に居るとは思わなかったよ。力を持て余して暴れているのは知っていたが、とっくにハル殿に狩り取られたかと思っていたからな」
「相変わらず、ひでぇ親父だな。で?何か知ってんのか?」
「フゥ、とにかく、ココは謁見の場だ、場所を他へ移そう」
「そうですね、ココではオーラを抑える事は出来ませんし、このままではサイもダースも話し辛いでしょうから我らのオーラも抑えて落ち着いて話せる場所に移動しましょう」
ハルはそういった神に手をとられ、ダースとサイは魔王に首根っこをつかまれて、揺らいだ空間に体を溶け込ませてその場から別の場所へと移った。


 
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