Evil.Umpire

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

SHIKOU 2

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チラリと横目にダースの行為を見ていたハルは離れていくダースの横顔を目で追って、そっと自分の頬に手を添える。
「何をした?何かの呪いか?」
「ククッ、呪いって。もしかしてハルはキスって知らないのか?」
「キス?何を帰すんだ?」
「アハハ!違う違う。帰すの【帰す】じゃなくって【キス】。まぁ、なんていうか、おまじないだよ。おまじない」
「おまじない?なんのだ?」
「ハルが笑顔になりますようにってね」
二カッと笑ったダースの言葉にハルはなんだか胸がドキドキしてきて、なんだか気持ちがムズムズしてくる感じに、ダースに向けていた視線を少しそらし宇宙を見つめた。
小さな光から大きな光、瞬くものに輝くもの、さまざまな光が降り注ぐ空を見上げていたハルはゆっくり自分の前で両手を広げ手の平に小さな丸い球体を作り出し、その中に今目の前に広がる宇宙を映し出した。
「へぇ〜面白いことが出来るんだな。投影機って感じ?」
「投影?いや、違う。この宇宙はこの外の宇宙」
「ん?どういうことだ?」
「…つまり、この球体を壊せば、外の宇宙も壊れる」
「んな?!ハルはそんなことも出来るのか。管理者って馬鹿みたいにすごい力を持ってるんだな」
「すごい?これって誰でも出来ることだろう?」
「おいおい、そんな事、神や魔王でも出来ないぞ」
「そうなのか?こんなに簡単なのに」
ハルの肩越しからその小さな宇宙を眺め、ハルの力のすごさを改めて目の当たりにしたダースは「全く、お前って…」と言いかけてハルの沈んだ様子に言葉をとめ、後ろからぎゅっとハルの肩を抱きしめ聞く。
「どうした?」
「私の力は凄いのか?」
「あぁ、凄いだろうな。俺はまだお前に使役してから間もないからその力の全てがどの程度のものなのかは分からないけど、宇宙を手の平に抱くなんて事、逆立ちしても出来ないよ」
「そうか。では何故黙示録は私の呼びかけに答えない?私の力が弱いわけでも、足りないわけでもないのに」
「ハルは、どうしてだと思う?」
「お前は馬鹿か?分からないからお前に聞いているんだろう」
少しムッと口を尖らせたハルは肩越しに聞こえてくるダースの方を向いて文句を言ったが、思っていたよりも近くにあったダースの顔に一瞬びっくりした後、何故か顔が熱くなるのを感じて、前を向いて俯いた。


 
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