空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

向日葵と太陽 1

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ヒマワリ……
太陽を追いかけて追いかけて、太陽に憧れて憧れて、でも、結局は太陽には近づけなくて、太陽に気づいてもらえなくって。
ひと夏……
必死で太陽に憧れた向日葵の望みはかなう事無く、沢山の次の希望を残して枯れていく。
「明るくて元気の出る良いお名前ね」
光田 向日葵(みつだ ひまわり)は小さい頃からずっとそういわれて育ってきた。
でも……
(違う。向日葵は良い名前じゃない)
向日葵はずっとそう思ってきた。
ヒマワリの花言葉は【あこがれ】【私はあなただけを見つめる】
(そう、結局は報われないのよ)
ギラギラとした日差しの中、懸命にその大きな黄色い目立つ姿をさらしだし「私はココよ!」と主張して、空を見上げるのに、結局は茶色く萎れて首をもたげて下を向いたヒマワリは報われない想いに涙のような種をこぼす。
そんなヒマワリを見つめながら、ヒマワリの姿に自分を重ねる向日葵は自分の名前が大嫌いだった。
名前に負けないように明るく振舞った時もあった。
名前が嫌で横道にそれたこともあった。
名前も自分も全てが嫌になってその命を散らそうと思ったこともあった。
そうして向日葵は今、高校一年生をやっている。
周りに流されるまま入った高校では別にこれと言った目的も見つからず、毎日時間だけが過ぎていく。
そうして、もうすぐ無事に高校二年生になろうとしていた春休み前のある日、自転車に乗って帰って来るとずっと空き家だった隣の家の前にトラックが止まり、沢山の荷物を下ろしていた。
(……引越し、かな?へぇ〜とうとうこの家にも人が入るんだ)
チラリと横目で引越し屋さんが忙しく荷物を降ろしている姿を眺めながら、駐車場の母親の軽自動車横に自転車を止めて鍵をかけ、駐車場から玄関へ行こうと回り込むのも面倒と、いつも通り、直線コースの生垣の壊れた所を跨いだ。
「コラ!向日葵!」
予想していなかった母親の声がして、生垣を跨いだ状態で玄関を見る。
そこには家の中の方にあきれた顔の母親と、知らないオバサンが何か手見上を持ってクスクス笑っていた。
 
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