空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

向日葵と太陽 2

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「久しぶりね〜向日葵ちゃん」
少しほんわかとしてポッチャリした『オバサン』は向日葵の方をむいて優しい笑顔を向けて挨拶をし、その挨拶はまるで向日葵のことを知っているかのような挨拶。
しかし、向日葵は一瞬の間ではあったが、その人物の顔を見て、知っているかどうか頭の中を探ってみても一向に『あぁ!』と思い出すことはない。
「……え、あ、はい」
何がなにやら分らない状態の向日葵は、いかにも頭に疑問符が浮かんでますと言った表情を浮かべ、にこやかに笑うその『オバサン』に軽く会釈して、跨ったままの足を玄関の方へ向け引き抜き、疑問の視線を母親の方へと向ける。
向日葵のいかにも「この人誰?」という表情に、ヤレヤレと言った顔をして軽く首を振った母親はコホンと1つ咳をすると、仕様が無いと向日葵の疑問に答えた。
「覚えてないの?青野さんよ。ほら、アンタが小学校5年まで隣に住んでた」
「フフッ、覚えて無いわよね〜?まだ小学生だったし、随分昔の話ですもの」
「いっつも遊びに行っては夕食をご馳走になってたでしょ?」
早く思い出せと言わんばかりの母親の思い出話に、知らないオバサンはまぁまぁとなだめるように2人は会話しているが、向日葵はそんなエピソードを色々聞かされても余りピンときてなかった。
「フー、全く。あれだけお世話になっておいて忘れるなんて。本当にごめんなさいね〜」
(しょうがないじゃない、そんな昔の話されたって……)
「いいのよぉ〜昔の話だもの。だいいち、お世話って別に何もして無いわよぉ〜」
オホホと2人で笑い声を上げて、ご近所の道端で良く見かける「井戸端会議」が自分の玄関で繰り広げられ、フッと溜息をついて向日葵は軽く腰をかがめながら2人のオバサンの横を通り過ぎる。
(別にいいけど、できれば喋る場所ってのを考えてよね……)
玄関に立ちふさがるように会話するオバサン達は今の機嫌が少し悪い向日葵にはただ邪魔なだけ。
向日葵は心の中でオバサン2人に文句を言って、後ろからかかる「着替えたら夕食手伝ってよ!」という、いつもの母の言葉に手を上げて答え、自分の部屋に入り鞄をボサッとベッドに放り投げた。
セーラー服のスカーフをはずしてハンガーにかけ、上着の前ファスナーを途中まで下げたとき、背中の窓に何かがコツンと当たり、向日葵は振り向く。
すると閉まった自分の部屋の窓ガラスの向こうに見える窓枠に腰掛、ニヤける男がコッチを見ている。
(……キモいんだけど……)
向日葵はスタスタと窓際まで歩いていって、厚手のカーテンをシャッと引いて視界を遮った。

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