空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

向日葵と太陽 3

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「……えっと、マジ?」
窓枠にもたれかかっていた男は予想しなかった向日葵の態度に少々あっけに取られながらも、ヤレヤレと頭をかいて窓枠に下ろしていた腰を上げた。
その頃、カーテンを閉めた向日葵は訝しげな目線でカーテンを見つめ、セーラー服を脱いで部屋着に着替え、倒れ込むようにベッドにうつ伏せになる。
「はぁ〜今日も疲れた〜〜なんで学校行かなきゃ行けないんだろう〜ってか何で行ってるんだろうかな〜私の場合……」
フ〜と若者らしからぬ溜息をもう一度つき、枕に顔を押し付けているとカーテンを閉めた窓がドンドンと揺れた。
「……」
ドンドン!
「……」
ドンドンドンドン……
「あぁ!もぅ!うるっさいな!!」
向日葵の無視攻撃に負けもせず、叩き続けられる窓に、半分キレて怒鳴った向日葵はベッドから起き上がってシャッと勢い良くカーテンを開いた。
「よ、よぉ!」
「……な、何?それ」
カーテンを開けた先には隣の窓枠に左足をかけて、右足を向日葵の部屋の窓枠に置いて、壁に手をつき、バランスをとって2つの家の間の何もない空間を渡ろうとしている男が、引きつった笑いを浮かべながら声をかけてくる。
「え〜と、この状態で自分の家に帰るのは難しいと思われ……できればその固く閉まった窓を開けて部屋の中に入れてもらえればすんごい喜ぶと思われ」
「……ヤダ」
「あぁ!この状態の人間にそういう事言うかな〜〜??」
「落ちれば?大丈夫だよ。下は植え込みだから……」
「そういう問題じゃないでしょ……あ!さては向日葵!!俺が誰だか分かってないとか?」
「ニヤけた男……」
「マジかよ。俺だよ、太陽、青野太陽!」
向日葵がカーテンに手をかけて窓際から去ろうとした時、男が必死の声を上げて自分の名前を名乗り、向日葵はハッとして振り返った。
「太陽って……もしかして太陽兄ちゃん?」
「そう!」
向日葵の背中から何かがぞわぞわっと上がってきて、それは首を通って脳へとたどり着く。
向日葵の脳に封印されるようにしておいてあった記憶の箱をその震えは揺らして見事にその箱を開いた。



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