空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

向日葵と太陽 4

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ピタリと固まった向日葵に向かって太陽は懇願するように言う。
「うぅ、た、頼む、少しで良いから開けてくんない?」
「あ、え、えっと、う、うん……」
太陽の声にビクンと体を揺らした向日葵はそろそろと窓まで行って鍵をあけ、窓ガラスをスライドさせた。
窓ガラスが開くと、太陽は自分の窓においていた足をあいた窓枠に乗せて、両足を部屋の中へといれ、窓枠に腰掛け向日葵にニカッと笑う。
その笑顔に向日葵の心臓はドクンと一度大きな鼓動をさせて、そのあとからドクドクとした小さな鼓動が胸を内側から叩いた。
クルット背を向けた向日葵に窓枠に腰掛足を組んだ太陽が聞く。
「向日葵、お前、もしかしなくても俺の事わかんなかっただろう?」
「……だって、わかるわけないじゃない」
「え〜〜傷つくな〜。俺はすぐ向日葵が分かったのに〜」
(すぐに?私ってわかったって?覚えててくれたの?)
向日葵の心臓は激しく暴れ、体全体が熱くなって来ていた。
「そ、そんな事言ったって、昔と太陽兄ちゃん全然違うもん。もっと可愛らしい感じだったじゃない」
「社会人になろうかって男がいつまでも可愛い訳無いだろう?」
「それに、まさかいなくなった人が同じ家に舞い戻ってくるとも思わないじゃない?」
「そらま〜そうだけど、売家になってなかっただろう?」
「あぅ……そりゃそうだけどさ……」
言われて見ればと向日葵は思ったが、そんな事小学生が気づくわけもないし「居なくなった」「だまって消えた」と言う想いがあったから
そんな事を考えもしなかった。
「ククッ、本当に向日葵は変わってないな〜」
「それってスッゴク失礼〜私だってもう小学生じゃないんだよ?」
背中を向けて、腕を組んでそういう向日葵に太陽はクスクス笑いながら床に足をつけて向日葵の部屋の中に入り向日葵に近づいてポンと向日葵の頭に手を乗せる。
「悪い悪い、確かに体は随分育ってるな、出る所は出てるし、背も高くなった」
「……その言い方なんかいやらしい……」
「ククク!そうそう!そういう所は変わんないよ。ぶすくれると言うか、文句ったれというか……」
ポフポフと向日葵の頭を軽く叩き笑って言う太陽に、向日葵はどうしていいのか分からなくなっていた。

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