空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

向日葵と太陽 6

イメージ



久しぶりの涙に向日葵自身が驚いて慌てて目を手でこすり、頬を拭う。
「な、ど、どうしたんだろう?」
自分の感情がいつもと違うし、いつもとおかしい、そう思った向日葵は慌てて窓から離れ、ベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。
(どうしたの?私……落ち着け、落ち着け……)
まるで呪文でも唱えるように向日葵は自分のドキドキと不安定に鼓動する心臓の上に手を当てて呟き、枕に顔を埋めてうつぶせたままで深呼吸をする。
徐々に落ち着いてきた気持ちの中で向日葵はジッと考え込んだ。
(太陽兄ちゃんが帰ってきた……ずっとそうならないかなって考えてた……今まで色んな男の子と付き合ったけど長く続く事はなかった……だって、私の中にはずっと、ずっと太陽兄ちゃんが居たんだもん)
フーと息をはきながら横を向いた向日葵はボンヤリと自分の勉強机を眺める。
壁にピッタリくっついた勉強机はドコにでもある勉強机。
小学校入学の時に両親に買って貰った机で、始めは様々な機能がついていたが、大きくなるにつれ、その様々な機能は凄く邪魔な存在になり、今では勉強をする場所と、目の前にある教科書などを置いておく本棚と、引き出しがあるだけとなった。
引き出しは4つあり、一番上の引き出しには鍵がかかるようになっていた。
枕に頬をつけたまま、向日葵はジッとその机の引き出しを見つめ、一度目を閉じると、決意したようにベッドから起き上がって机に近づくとガタガタと机を動かし始める。
「ん、よいしょ……私の記憶が確かなら多分、ココに……」
荷物を取り除いて動かしているわけではない机は思った以上に重たく、壁から10センチ程度ずらすのがやっとだったが、向日葵は机の下に四つん這いになってもぐり、ケータイを取り出し、ライトをつけて壁から離れた10センチ少々の隙間を覗き込んだ。
大掃除の時ですら掃除をしないその場所は、綿の様な固まりになった埃に髪留めや無くしたトランプのカードなどが落ちていて、まさにゴミ溜りだった。
壁に顔を押し付けるようにしてその隙間を良く見たが、向日葵の探しているものは見当たらない。
「……あの時、絶対ココに落ちたと思ったんだけどな〜……は〜こんなことならちゃんと仕舞っておけばよかった」
向日葵は大きな溜息をついて、ケータイのライトをけし、机の下にもぐりこんだままうなだれた。


イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

応援ヨロシクです♪イメージ

inserted by FC2 system