空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

向日葵と太陽 9

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布団に手をついて、その場から起き上がった向日葵は涙を流さないようにしなければと必死で太陽に背を向けて深呼吸をしていた。
(落ち着け……落ち着くのよ!なんでもない……そうよ、なんでもないのよ)
自分自身に言い聞かせるように胸に手を当てて、必死で頭の中を静かにさせようとしていた。
「……おぃ、どうかしたのか?向日葵」
「ぅひゃ!」
自分の状態をどうにか治めようとしか頭に無かった向日葵は、不意にベッドから起き上がった太陽に肩を掴まれて聞かれたため、思わず口から素っ頓狂な声が出てしまった。
「プッ!なんだよ、その声」
「きゅ、急に声をかけるからでしょ?!」
「クク、お前本当に全然変わんねぇな〜アハハ!」
「……そ、そんな事……ないもん」
向日葵は太陽の言った「変わらない」と言う言葉に傷つけられていた。
(そんな言葉、嬉しくない……)
向日葵にとって変わらないと言われるということは、手の届かない存在だと太陽をずっと見ているだけだった、結局、気持ちを伝える事のできない、太陽に置いてけぼりにされた自分を思い出すこと。
それは、向日葵にとって1番辛いことだった。
「向日葵〜ご飯よ〜降りてきなさい」
俯いて何も喋らなくなった向日葵を不思議に思った太陽が向日葵の頭に手を置こうとしたとき、1階から向日葵の母親の呼ぶ声がして、太陽は「ほら呼んでるぞ」と声をかけて窓から出て行こうとした。
「あ、太陽兄ちゃん!」
思わず、潤んだ瞳を太陽に向けて呼び止めた向日葵の方を振り向いた太陽はにっこり笑って
「また後で来る。飯食ってきな」
と手を振り、そのまま向こうの部屋へと消えていった。

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