空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

流れた時間 2

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(……今、瞳って)
思わず、ゆっくり体を起こし、そっとベッドを立ち上がって静かに、物音を立てないように窓の近くに行き、聞き耳を立てた。
「……あ?今やってるって……わかってるよ、ちゃんと片付けてるっての」
(……太陽兄ちゃんが掃除が苦手だって知ってるの?)
「あぁ、それはおいといて。日用品はこっちで買うし、それはそっち用でおいとくから」
(日用品?どういうこと?)
向日葵は太陽の会話を聞けば聞くほど自分の胸の中が不安で重たくなり、心臓がドクドク言うのを感じ、ガバッとその場に耳を両手で塞いでうずくまった。
(……いや!いやよ!!折角、折角太陽兄ちゃんが帰ってきたのに……ずっと待ってたんだよ?なのに、酷いよ!)
渦巻く色んな感情に瞳からは涙がこぼれ落ちて部屋の絨毯にポタポタと落ちてシミをつくり、それは更に広がっていく。
(分ってたわ、だから諦めたじゃない!なのに……)
向日葵は何度も何度も同じことを頭の中で繰り返して泣いた。
太陽と会えなくなってかなりの時間が流れた。
太陽に彼女が居ても不思議じゃない。
向日葵自身も、太陽の事が忘れられず、何度となく別れたとは言え、何人もの彼氏を作ってきたのだからそんな事当然だと頭では理解していた。
何より、向日葵には太陽のさっきの態度で良く分かっていた。
(そうよ……太陽兄ちゃんは私を妹ぐらいにしか思ってくれてない……)
そう、頭の中では様々な【事実】と【理屈】が回っていたが、それを【理解】しながらも【承知】できない向日葵が窓に背を向けて小さく声を立てずに肩を震わせて泣いていた。


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