空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

唐突は突然に 3

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お風呂場に入り、つめたいシャワーを頭からかぶってとりあえず、ボケッとした頭をハッキリさせた向日葵は、お風呂場の鏡を見ながら晴れ上がった顔が少しでもマシになるようにマッサージを繰り返す。
「あぁん!もう!これ以上マシにならないじゃん」
泣いて眠ってしまった自分を情けなく思い、太陽兄ちゃんはお兄ちゃんなんだと自分に言い聞かせておきながら、こうして太陽に会うからと必死になっている自分に溜息をついた。
「……はぁ、私、何やってるんだろ?」
コツンと鏡に額をつけて、頭からかぶっている冷たいシャワーの水が自分の顔を通って顎から落ちていくのをジッと見る。
「体洗って、顔をきれいにした所で……太陽兄ちゃんには恋人が居るのに……私は妹なのに……」
思えば思うほど、やりきれない感情が胸を締め付けて苦しくなってホロリと涙がこぼれた。
シャワーの水にまじって落ちていく涙の温かさにフッと嘲笑する。
「私っていつからこんなに感傷的で涙もろくなったのかな〜……馬鹿みたい……」
キュッと蛇口をひねり、水を止めてバスタオルを頭からかぶり水気をふき取った。
腫れ上がっていた顔は水のおかげで随分ひいた気がする。
ただ、また泣いてしまったので目が真っ赤な状態になってしまっていた。
「……目薬したら少しはマシになるかな?」
ドライヤーで髪を乾かし、着替えを済ませ、食事は?と聞いて来る母親に後で食べると言って太陽に家へと向かいインターホンを押す。
太陽の好きな空色の涼しげな少しミニのワンピース。
(……太陽兄ちゃん……なんて言うだろう?目が赤いこと、心配しちゃうかな?ワンピース、褒めてくれるかな?)
ドキドキしながら待っているとカチャリと玄関が開き、太陽が顔を出した。
「ハハハッ、やっぱりコッチから来たのか。流石に窓を飛び越えてくる年齢じゃないか……」
「だ、だって……」
「ま、いいから上がれよ」
そういって先へと歩いていく太陽の背中を見ながら向日葵は少し瞳を伏せてフッと溜息をついた。

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