空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

唐突は突然に 9

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バタバタと音を立てて帰ってきた向日葵はすぐさま洗面所に駆け込み、バシャバシャと顔を洗う。
濡れたまま、顔を上げて目の前の鏡に自分の顔を映してフッとその情けない顔に向かって嘲笑った。
「……情けないね、向日葵。強気なアンタはドコに行っちゃったの?」
鏡の中の向日葵は応える事無くハの字に眉を歪ませる。
再び冷たい水の中に温かい雫が混じらないように向日葵はタオルを手にとってグイッと顔をふいた。
リビングに戻ると、食卓の上に自分の分の朝食が置いてあり、その横に置手紙がしてある。
『ひまわりへ。父さんは仕事に出かけました。母さんも今日はテニスの日なのでもう出ます。外出する時は戸締りを忘れないでね』
「……お気楽夫婦」
ポツリと呟いて向日葵は電子レンジで暖めることもせず、そのまま食事をとって、食器を洗い自分の部屋へと向かった。
(太陽兄ちゃんが居たらどうしよう……)
そんな事を考え、そっとドアを開いて中の様子をうかがってみる。。
しかしそこに太陽の姿は無く、窓も閉まったまま。
「良かった……居ないみたい……」
ふぅっと安心と落胆両方の溜息をついて部屋の中に入り、窓際によって、太陽の部屋を見てみれば、そこに太陽の姿は無かった。
安心の溜息を吐いたその胸はすぐに重苦しい苦しさに襲われた。
「……出かけたんだ。夕方に行くって言ってたのに……」
向日葵はうつ伏せでベッドに倒れこんだ。
(ダメだな……私は。強くなったと思ってたのに、コレじゃ、太陽兄ちゃんに守られていたガキの頃と変わんないじゃないか……)
足をバタバタさせて、枕に顔をうずめモゾモゾと首を動かす向日葵はもう一度大きな溜息をついて、ゴロリと転がり仰向けになった。
「(チビで苛められていた私を助けてくれたのは太陽兄ちゃんだった。いつも眩しくて、そして、いつも手の届かない場所に居た太陽兄ちゃん……守ってやるって言っておきながら居なくなって、だから私は強くなろうと、人になど頼らずに守られずに生きていこうって思って頑張ったのに……)……なのに、ズルいよ。もう、元に戻っちゃったじゃないか……」
そう向日葵がつぶやいたとき、向日葵の学校の鞄に入れっぱなしになっていたケータイの着メロがなり、だるそうにベッドから上半身を起こして向日葵は電話をとった。

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