空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

唐突は突然に 12

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5分もしないうちに女子男子、両方の人数が揃って、皆でカラオケ店へと向かう。
合コンとは言うものの、高校生の集まり。
お酒を飲むと言う事は全くなく、カラオケで盛り上がり、そのあとファミレスで喋ると言うコースがお決まりだった。
4対4の集まりで、それぞれに男子の横には女子が座ると言う形で交互に座ってまずは自己紹介が始まる。
やる気のない向日葵はいつものように営業スマイルに似た、その場に合わせた適当な笑顔を浮かべて自分の名前を言ってすわり、それぞれの自己紹介を聞いた。
始めはフリードリンクと注文したフライドポテトなどを摘まみつつ雑談し、その内にカラオケへと移行する。
(……つまんないな。かといって今帰るってのは皆にも悪いし、何より、家に帰って太陽兄ちゃんにどんな顔見せたら良いのかわかんないもの)
ハァと大音量の中なら誰にも気づかれないだろうと付いた向日葵の溜息に向日葵の隣に居た男子が向日葵の耳元で小さな声で言った。
「つまんない?」
「え?」
振り向いた向日葵の眼に、優しい微笑が飛び込んできた。
「えっと……うんと……」
「クス、葛木遼だよ。光田向日葵さん」
「ご、ごめんなさい……聞いてなかったわけじゃないんだけど」
「フフ、覚える気が無かった?」
向日葵は笑顔で言う遼にウッと言葉をつまらせてハハッと照れ笑いする。
そんな向日葵の肩をおもむろに抱いて、立ち上がった遼に、つられるようにして立った向日葵。
(え?何?)
戸惑う向日葵をよそに、部屋の外に出て行こうとする遼に部屋の中のほかのメンバーが声をかけた。
「あれ?遼、何処行くんだ?」
「ん、自由行動〜良いだろ?」
「……割り勘だからな〜払えよ」
「OK〜」
後ろ向きで手を振って、遼は肩を抱いたまま向日葵と部屋を出て行った。

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