空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

戸惑いと不安と 4

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向日葵が駆け出してしまったあと、太陽は駅の近くまで追いかけてきていた。
向日葵の最後の一言がどうしても気になり、そして話をしようと思ったからだった。
しかし、駅の近くまで来ると、その人ごみで向日葵を見失ってしまう。
「クソ!見失ったか……友達と会うって行ってたしな……もう電車に乗ったかも」
そう呟きながらも、太陽は暫くの間その駅周辺を探していた。
「……やっぱり、コレだけ捜しても居ないって事は電車に乗ったのかもな」
大きく溜息をついて近くのガードレールに腰を下ろした太陽が、暫くボゥッと周りを見ていると、通りの向こう側にあるコンビニから向日葵が出て来たのを見つける。
「あ!向日葵!ひまわ……っ!!」
手を振って声をかけようとした太陽は手を振り上げたまま、向日葵の後ろから同い年ぐらいの男子が現れるのを見て、声をかけるのを止めた。
「……誰だ?」
太陽の心の中にモヤモヤとした、不安にも似た感情が溢れてくる。
気づいた時には2人の後を追っていた。
公園に入った2人はベンチに座る。
(……俺は一体何をしてるんだ?)
そんな疑問を頭に浮かべながらも太陽は2人の後ろにまわりこんで、木の影に隠れて様子を見ていた。
2人の会話が途切れ途切れに聞こえる。
どちらかといえば向日葵の声よりも男の声の方が良く聞こえ、太陽はその男の言い分にイライラをつのらせていた。
モヤモヤとしてイライラするその感情が何なのか、分らないまま、太陽はただ、隠れて様子をうかがっている。
遼が向日葵を抱きしめた瞬間、思わず草むらを飛び出してしまいそうになって何とかそれを押し留めた。
(……あの野郎!俺の向日葵に……)
そう思った時、太陽はハッとする。
(俺の?……って俺、何言ってんだ?俺の物のわけないじゃないか……)
耳に聞こえる向日葵の声が、妙に艶めかしくて、太陽はその場でフルフルと震える拳を押さえつけ、ただ、わけのわからない自分の感情を押さえつけることに必死だった。

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