空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

戸惑いと不安と 5

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向日葵は自分を抱きしめてくる遼の腕の強さに戸惑いながら、フッと頭の中に太陽の顔がよぎったが、とにかく公園でこのまま押し問答しているのも恥かしいと遼に返事をした。
「わ、わかったわ……お試しなら……」
「ホントに?」
「ホント。だから離して」
向日葵の言葉に遼の腕の力が緩んで、ほっと息をついた向日葵の目の前に遼の嬉しそうに微笑む顔があった。
その場しのぎという感も否めない向日葵は、さわやかなその笑顔に胸がチクリと痛んだ。
徐々に緩む腕から一気に体を離した向日葵は俯いたままベンチから立ち上がり、遼に言う。
「きょ、今日はもう帰るわ……」
「……ん、じゃ、送っていくよ」
「い、いいよ!別に……」
「やだ、送ってく!拒むんだったら……」
「え?きゃぁ!」
遼はスッとベンチから腰を上げると、ジリジリと後ずさりながら言う向日葵に近寄って、向日葵の体を持ち上げ、横抱きにした。
突然の事に目を見開き、声を裏返らせて向日葵は少し怒鳴り口調で言う。
「やだ!恥かしい!!下ろして!」
「ダァ〜メ。送らせてもらえないらしいからコレで帰る」
「なっ!」
ニヤッと笑う遼はジタバタと暴れる向日葵を抱き上げた両手で抱え込んで歩き始め、真っ赤になった向日葵が叫んだ。
「わ!分った!分ったわよ!送っていいから下ろして!」
「ん〜どうしようかな〜」
「ちょ、ちょっとぉ〜お願いだから下ろしてよ!」
「少し残念だけど仕方ない。春休みはまだあるし、幾らでもチャンスはあるからいっか」
「チャンスって……きゃ!」
向日葵の体を降ろすとき、遼はニッコリ笑って向日葵の頬に軽くキスをし、ビックリした向日葵は頬を手で押さえて茹蛸状態になり、固まってしまった。

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