空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

戸惑いと不安と 7

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声を出した向日葵が立ち止まったので、手を繋いでいた遼が不思議に思って聞く。
「どうかした?」
「え……いや……なんでも」
俯いて口篭っている向日葵に声がかけられた。
「……おかえり、向日葵」
「た、ただいま……太陽兄ちゃん……」
少し低い太陽の声に向日葵はビクンと体を震わせる。
その様子を見て遼が向日葵を庇うようにその声の主にたちはだかった。
「……お兄さんですか?」
「いや、隣に住んでる……」
「隣?隣は確か空家じゃ」
「帰ってきたの……太陽兄ちゃんは昔ね、お隣さんでね、昨日、引越ししてきて……帰ってきたんだ」
「そう言う事だ。送ってくれてありがとう。さ、向日葵……」
「ぅ、ん……」
向日葵は差し出された太陽の手に自分の手を重ね、太陽はその手をグイッと自分に引き寄せ、胸の中に向日葵を抱きしめる。
その様子に遼はムッとした表情をしたが、腕の中の向日葵がどう見ても喜んでいるようには見えなかったので、チラリと自分より背の高い太陽を見上げ、口の端を引き上げて少し微笑んで言った。
「あまり、過保護なのもどうかと思いますよ?もう高校生だから……」
「そうか……それは忠告ありがとう。気をつけるようにするよ……」
互いに視線をぶつからせ、睨んだが、すぐに遼は優しく微笑んで視線を向日葵に向けた。
「じゃ、光田さん。また電話する……」
「ぅ、うん……」
「それじゃぁ、太陽お兄さん。さようなら……」
ニッコリ笑ってお兄さんを強調させて言ってくる遼に少しムカッと腹を立てた太陽だったが、負けじと微笑を浮かべ手を振る。
遼の姿が小さくなって太陽は腕の中で小さくなっている向日葵に優しく声をかけた。
「……俺の部屋にいこう」
「……ご、ごめん、太陽兄ちゃん……疲れたから」
向日葵は小さくそういって、太陽の腕の中から抜け出し、急いで玄関の鍵を開けて家の中に入って後ろ手に鍵をかけた。
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