空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

危険な女 1

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トスンと背中を玄関の扉につけて項垂れた向日葵は、どういう顔を太陽に見せれば良いのか分からなかった。
(……もう、何だか今日はぐちゃぐちゃ……)
頭の中が混乱してしまい、考えるを通り越して真っ白になっていた向日葵の耳に太陽のケータイの着信音が聞こえ、玄関の扉の向こうから太陽の声がする。
「……ん、今向かってるよ……あぁ……」
太陽の声が遠ざかり、門扉がカシャンと閉められる音がした。
向日葵は急に襲ってきた胸の苦しさに両手を胸に当ててその場に座り込んだ。
「うっ……うくっ……」
整理の出来ていない頭と、胸の痛み。
それが一体何を意味するのか、考えなくてもわかっていたが、わかりたくもなかった。
「もぅ……やだよ……」
自然と涙がポタポタ零れ落ちる。
何時から自分はこんなに涙もろく、そして感情を表すようになってしまったのだろう?
そんな事を考えながら、向日葵はズルズルと重い足を引き摺って、自分の部屋に戻った。
ドアを閉めて、ふと見れば、カーテンがかかった窓が見える。
ゆっくりと窓に近寄り、カーテンを開け、窓ガラスをあけた。
向こうには太陽の部屋。
出かけたはずの部屋は大きく窓が開かれている。
「……無用心……」
そう呟いて、ジッと向こうの部屋を見つめていた向日葵はカタンと雨戸に手をかけた。
随分閉めていない雨戸はキキーと音を立てて、ゆっくり閉められ、向日葵の部屋は薄暗くなる。
「隣って……不便だな……」
大きく溜息をついて、カチャンと雨戸の鍵を閉めた向日葵は、窓際を離れて着替えた。

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