空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

危険な女 5

イメージ



瞳の部屋を出た太陽は走って公園まで来て、フゥと一息つく。
「……もっと、物分りの良い女だとおもってたんだけどな」
太陽が大学2年の時、家が金銭的に苦しくなった。
勿論、太陽も大学を辞めることを一度は考えたが、どうしても続けたくて、奨学金の申請をする。
高校時代、成績優秀の太陽は何とか無利子で借りる事はできたが、問題は部屋。
転勤の多い両親と一緒に暮らすことは難しい。
出来れば電車等使わなくても通学できる場所が好ましかった。
部屋を探していた太陽に声をかけてきたのは瞳。
瞳は大きな企業の子会社とは言え社長令嬢。
大学から多少は離れるが自転車での通学が可能な場所にある、高層マンションの最上階近く、その階すべてが1人の持ち物となる部屋を借りていた。
「1人じゃ広すぎるから、ルームメイトって軽い感じでどう?」
今まで別に話した事も無い女だったが、家賃はいらない、条件は瞳の言う事を聞くこと。
高飛車な態度や、化粧を塗りたくって着飾った、太陽の一番嫌いなタイプの女だったが、背に腹は変えられない、そう思った太陽は申し出を受けた。
女としての魅力が無いわけじゃない。
プロポーションも良く、美人だとは思っていた。
しかし、太陽は酔えば確かにクラッとした事もあったが、そうでない状態でそう思うことは無い。
わがままで、自分勝手。
根っからのお嬢様気質で、何でも自分の思い通りになると思っている瞳の言い分にはうんざりしていた。
大学卒業までの我慢だと思い、瞳の無理難題に素直に答える日々。
早く解放されたいと言う思いのせいか、太陽は留年することなく、大学を卒業。
そして、教師となって、奨学金を返しながらではあるが社会人となる為、瞳の部屋を出て行ったのだ。
「自分で俺を縛りつけたことすら忘れてやがる……メンドくせぇ女……」
そう呟く太陽はそっと自分の唇を触る。
まだ、そこに、瞳の熱い体温が残っているような、そんな気がしていた。
イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

応援ヨロシクです♪イメージ
inserted by FC2 system